内容説明
旧弊で形式的なヴィクトリア朝から、自由で民主的なエドワード朝へ移行していく20世紀初頭のロンドン。自分の居場所を見つけられずに悶々としていた女性が、婦人参政権運動に出合い、のめり込み、そして悲劇的な最期を遂げる。繊細な筆致から紡ぎ出される女性の「叫び」が聞こえたとき、あなたが覚えるのは共感だろうか、反発だろうか。
著者等紹介
シュヴァリエ,トレイシー[シュヴァリエ,トレイシー][Chevalier,Tracy]
1962年アメリカ・ワシントンD.C.生まれ。1984年イギリスに移住。事典の編集者などを経て執筆活動に入り、1997年に『Virgin Blue』でデビュー
松井光代[マツイミツヨ]
奈良県生まれ。大阪大学大学院文学研究科独文学修士課程修了。公立高校の英語教諭、奈良女子大などのドイツ語講師を経て、英日、独日の翻訳家となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きりぱい
9
婦人参政権運動にのめり込む一人の夫人とその周囲の語り手で構成される物語。最初は、先に読んだ二作品に比べてどうかと思ったけれど、結構面白くなってきて終盤はぼろぼろ泣けてしまった。夫従属を疑問にも思わない姑や世間のばかげた因習に逆いたい気持ちはわかるけれど、大義のための犠牲は自分だけにしてよと言いたくなる。娘の未来のためと言われても、今母恋しの娘には選挙権など何ほどのことか。ヴィクトリア朝終焉の時代にあって居るべき場所を間違えた母親に複雑。色々酷すぎた。面白いのは娘たちや姑のパート。墓地の扱われ方も特徴的。2013/07/03
Mana
0
二人の少女(モードとラヴィニア)の5才から15才にかけての物語。一応この二人が主人公なんだろうけど、いろんな人の視点で話が進むので主人公って意識は薄い。むしろモードの母親キティー・コールマンの印象が強い。彼女を主人公にして読むと印象がダロウェイ夫人に似ている。物語の視点が入れ替わるところや、ヒロイン(?)が結婚後の生活に満たされぬ思いを抱えているところとか。一人一人の気持ちが互いに微妙にすれ違っているとことか、あまりにもあっけない人生の描き方とかは結構良かった。ちょっと最後がシビア。2013/06/04
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