出版社内容情報
『音楽の友』2018年1月号から連載された『巨匠たちの「技」と「心」神は細部に宿る』全38回分をまとめたもの。20世紀に活躍した伝説的な弦楽器の巨匠たちによる名演奏の数々、そこでは実際にどのようなテクニック、どのようなメカニズムがはたらいて、驚異的な演奏が生まれていたのか。「演奏する側の視点」をベースに評論を展開する征矢健之介をパーソナリティに、音楽史に燦然と輝く36名の巨匠たちゆかりのゲスト演奏家を招き、微に入り細を穿ちながら、その妙技の謎と「人となり」に迫っていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
100
自ら楽器を奏せずに上から目線で演奏を批判する文章を読むと空しくなる。その点、一流の演奏家が、師事した巨匠を語る本書は深い。しかも、豊田耕兒先生がエネスコ先生、平井丈一朗先生がカザルス先生、前橋汀子先生がシゲティ先生など38組の組合せが圧巻。改めて、ボウイングが弦楽器の命であることを痛感する。レッスン部屋に筋肉解剖図を置くシュタルケル先生は特別としても、体の使い方を極限まで追求する弦楽器奏者の凄さである。私はチェロだから、トルトゥリエ先生とジャンドロン先生の、カザルス奏法に対する評価の違いを興味深く読んだ。2023/09/10
Tatsuo Ohtaka
1
20世紀に活躍した伝説的な弦楽器の巨匠たちによる名演奏の数々は、実際にどのようなテクニックやメカニズムがはたらいて生まれたのか。ゆかりのゲスト演奏家を招き、微に入り細を穿ちながら、その妙技の謎と「人となり」に迫っていく。写真も豊富で見ているだけでも楽しい。弦楽器の名手の評伝は数多あるが、このように彼らに師事した現在活躍するアーティストたちの「証言」が中心となっている点は他に類例がない。巨匠たちの素顔など知られざる一面が明かされている点も特筆したい。2021/10/20