目次
第1章 ベートーヴェンが聴いたバロック音楽―当時の演奏会のレパートリー
第2章 ベートーヴェンの楽譜棚1―ヘンデル
第3章 ベートーヴェンの楽譜棚2―バッハ
第4章 ベートーヴェンのスケッチ帳―「楽聖」が学ぶとき
第5章 バッハ『平均律クラヴィーア曲集』との対峙―傑作から生まれる傑作
第6章 ヘンデルの主題で―『ユダス・マカベウスの主題による変奏曲』
第7章 「ヘンデル風」と評された作品―『自作主題による三二の変奏曲』と『献堂式』序曲
第8章 音楽史を聴かせる変奏曲―『ディアベッリ変奏曲』
第9章 広がる「過去」の射程―『ミサ・ソレムニス』
終章 巨匠たちへのオマージュ―未完の計画
著者等紹介
越懸澤麻衣[コシカケザワマイ]
東京藝術大学音楽学部楽理科を経て、同大学院修士課程、および博士後期課程修了。博士(音楽学)。学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。2011~2013年、ドイツ学術交流会(DAAD)の奨学生としてライプツィヒ大学音楽学研究所に留学。現在、昭和音楽大学、洗足学園音楽大学、武蔵野音楽大学、群馬大学、横浜市立大学、東京理科大学、各非常勤講師。日本ベートーヴェンクライス理事。専門は、ベートーヴェンをはじめとする西洋音楽史、および日本の洋楽受容史。学術論文の他、『音楽の友』や演奏会のプログラムへも多数寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
61
「最も偉大な作曲家は?」と聞かれて、ベートーヴェンは「ヘンデルだ」と即答していたと言う。「真の天才はヘンデルとバッハ」と書いた手紙もある。そんな二人の先人の音楽がベートーヴェンに与えた影響を論じる一冊だが、学術論文に基づくだけに、譜例も的確、論点も具体的・明確で、とてもいい。ディアベリ変奏曲で「第31変奏がバッハ、第32変奏がヘンデル」と読み解くビューローも流石。「「ミサ・ソレムニス」を書く前に「ロ短調ミサ曲」を知っていたか」という命題に対する著者の見解は中途半端ではあるが、興味の尽きない謎解きである。2020/08/05