出版社内容情報
映画「七人の侍」と「ゴジラ」。1954年に製作されたこの名作の音楽を作曲したのは早坂文雄と伊福部昭。同じ年に生まれた二人は17歳の時に札幌で出会い、家庭環境の違いを越え、終生よきライバルとして友情を育んでいく。二人の音楽家の心の交流、音楽評論家・三浦淳史をはじめとした彼らを取り巻く人々との知られざるエピソードを数多く紹介。映画と音楽の歴史を塗り替えた音楽家たちの若き日の実像に迫る、大型書き下ろしノンフィクション。
内容説明
昭和7年、「七人の侍」と「ゴジラ」を作曲した二人は札幌で出会った!映画と音楽の歴史を塗り替えた音楽家たちの若き日の実像。
目次
序曲
第1楽章 出会い(南13条西13丁目;仙台から札幌へ ほか)
第2楽章 チェレプニン賞(遙か神職を離れて;新音楽聯盟 ほか)
第3楽章 栄光と挫折と(伊福部の師;早坂の恋愛 ほか)
第4楽章 P・C・Lを創った男(ラジオ局からの依頼;ワインガルトナー賞 ほか)
終曲
著者等紹介
西村雄一郎[ニシムラユウイチロウ]
ノンフィクション作家、映画評論家、音楽評論家。1951年佐賀市生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科を卒業後、「キネマ旬報」パリ駐在員。帰国後、映像ディレクターとしてビデオ作品を演出。1985年から古湯映画祭(佐賀市富士町)の総合ディレクターを務め、その功績により「佐賀新聞文化奨励賞」を受賞。現在佐賀大学で教鞭をとる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ace
5
2人の青春となっているが、後半はほぼ早坂文雄の伝記である。その理由は後書きを読めばわかるとして、とにかく偉人を生み出すのは環境なんだろうと改めて感じた。心の底にまで響く七人の侍とゴジラの映画音楽を生み出した2人は、NHK放送局の開局やチェレプニンを始めとする西洋からの期待など、音楽が新メディアとして役割が大きくなっている時代を背景として、北海道で共に青春時代を過ごし切磋琢磨していたからだ。数々のエピソードの根底にある戦前インテリ層の能力と行動力の高さを見習わねばと心新たにした。2023/10/09
Tatsuo Ohtaka
3
映画「七人の侍」と「ゴジラ」は同じ年に作られているが、その音楽を書いた早坂文雄と伊福部昭も札幌で出会った友人同士だった。北海道から東京に出てくるあたりまでの2人の交友を描いた本だが、やや早坂に分量が多く割かれている。それは作者が黒澤作品に傾倒する映画評論家だからかもしれない。2023/05/19
かやは
2
早坂文雄分が多め。ここまで極貧の生活をしていたとは。知らないエピソードが多く、たいへん興味深く読みました。▽最近、「交響的組曲ユーカラ」のCDを手に入れて聴いたんですよ(DESL-019「早坂文雄の軌跡」)。正直私は好みではなくて「ん……」と思ったんです。この曲は早坂が亡くなる1年前のもので、初演コンサートで武満徹は感動して楽屋にかけつけ、伊福部昭は否定的でそのまま帰っちゃったというエピソードが紹介されていて、「ああ、うん。なるほど」みたいな。2024/04/17