出版社内容情報
「人工知能と音楽」研究の泰斗による重要書。人工知能作曲プログラムEMI開発プロセスと美学の丁寧な記述から「創造性」が浮かび上る「人工知能による芸術創作」という難題に取り組む孤高の作曲家がいた。クラシック音楽の大作曲家たちの名作の楽譜から膨大な音符のデータベースを構築し、コンピュータ・プログラムによって各音の関係を綿密に探ることで新たな創作の道を開拓したデイヴィッド・コープ。「心のない作曲家」、オズの魔法使いになぞらえた「ブリキ男」などと揶揄されながらも、バッハ風の新作コラールやマーラー風の新作オペラなどを実現していく彼の壮大な実験は、やがて「創造性」の真実を浮き彫りにする。ある者は言う。この音楽は人間の創造性を危機に陥れるものだと。しかしコープは言う。彼のプログラムは、人間の創造性をサポートするものであると。人工知能による作曲プログラムとして広く知られる「エミー(EMI/Emmy)」の開発プロセスとに加え、傍らにある視点と美学を丁寧に描き出した快著、待望の邦訳登場。本書を読まずして「人工知能と芸術」は語れない。
序
I 背景と原則
1. 定義
2. 背景
3. 人工知能による作曲の現在のモデル
II 音楽的創造性の実験モデル
4. 組み換え
5. 引喩
6. 学習、推論、類推
7. 形式と構造
8. 感化
III 音楽的創造性の統合モデル
9. 音楽における連想
10. 音楽的組織
11. 統合
12. 美学
参考図書
付録A:人工知能による作曲作品一覧
付録B:データベース・フォーマット
付録C:ゲーム・オブ・アークの終わり方
付録D:バーチャル・ベートーヴェン作曲《交響曲第10番》より第2楽章
索引
コープ コープ[デイヴィッド コープ]
著・文・その他
平田 圭二[ヒラタ ケイジ]
監修
今井 慎太郎[イマイ シンタロウ]
翻訳
大村 英史[オオムラ ヒデフミ]
翻訳
東条 敏[トウジョウ サトシ]
翻訳
内容説明
創造性とは何か?AIによる作曲プログラムEMIを開発した作曲家・情報科学者による、思索と実験の記録。
目次
第1部 背景と原理(定義;背景;人工知能による作曲の現在のモデル)
第2部 音楽的創造性の実験モデル(組み替え;引喩;学習・推論・類推;形式と構造;感化)
第3部 音楽的創造性の統合モデル(連想;音楽における連想;統合;美学)
著者等紹介
コープ,デイヴィッド[コープ,デイヴィッド] [Cope,David]
作曲家、音楽理論家、情報科学者、作家。カリフォルニア大学サンタクルーズ校名誉教授(音楽理論・作曲)、中国・厦門大学名誉教授(コンピュータサイエンス)。1941年サンフランシスコ生まれ。幼少期に始めたピアノで幅広く演奏活動を行い、チェロもたしなむ。アリゾナ州立大学および南カリフォルニア大学で作曲の学位を取得。作曲をジョージ・パール、ホールジー・スティーヴンス、インゴルフ・ダール、グラント・フレッチャーの各氏に師事。作曲システムExperiments in Musical Intelligence(EMI)を開発した。出版作品は70作を数え、多くの演奏団体によって、アメリカ国内外で数千回以上演奏されている
平田圭二[ヒラタケイジ]
1982年東京大学工学部金属工学科卒業。1987年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程博士課程修了。工学博士。同年NTT基礎研究所入所。1990~93年(財)新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)に出向。2011年より公立はこだて未来大学教授。1993年情報処理学会音楽情報科学研究会初代主査、2009年第10回International Society for Music Information Retrieval Conference(ISMIR)プログラム委員長(G.Tzanetakis氏と共同委員長、神戸開催)などを歴任。一貫して音楽理解と生成の計算モデル構築に興味を持ち、現在は、記号論、代数、統計的機械学習などの方法論を駆使してアプローチ中である
今井慎太郎[イマイシンタロウ]
音や物の微細な運動の剪定と矯正による作曲とサウンドアートを手がける。国立音楽大学およびパリのIRCAMにて学ぶ。2002年から2003年まで文化庁派遣芸術家在外研修員としてドイツのZKMにて研究活動を、また2004年にDAADベルリン客員芸術家としてベルリン工科大学を拠点に創作活動を行う。2008年から2011年までバウハウス・デッサウ財団にてバウハウス舞台の音楽監督を務める。2012年にはダルムシュタット夏期現代音楽講習会にて講師を務めた。2015年に作品集『動きの形象』を発表。現在、国立音楽大学准教授。ブールジュ国際電子音楽コンクールにてレジデンス賞、ムジカ・ノヴァ国際電子音楽コンクール第1位および若い作曲家のための特別賞、EARPLAY作曲家賞、ZKM国際電子音楽コンクール第1位などを受賞
大村英史[オオムラヒデフミ]
2002年東京農工大学工学部機械システム工学科卒業。2009年東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了(新田克己研究室)。博士(工学)。東京工業大学研究員、科学技術振興機構ERATO岡ノ谷情動情報プロジェクト研究員、理化学研究所脳科学総合研究センター客員研究員、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所流動研究員、東京工芸大学客員研究員を経て、2015年より東京理科大学理工学部情報科学科助教。人間の情動に関わる音楽の構造分析や、音楽構造の定量化とその構築に関する研究に従事。また、雰囲気の定量化・応用に関する雰囲気工学の研究に従事。最近は、共同研究者とともに、脳波を利用したインスタレーションやアルゴリズム作曲による作品の制作も手がけている。人工知能学会、知能情報ファジィ、音響学会、情報処理学会、認知科学会の会員
東条敏[トウジョウサトシ]
1981年東京大学工学部計数工学科卒業、1983年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。1995年東京大学大学院工学系研究科博士(工学)。1983‐1995年(株)三菱総合研究所、(財)新世代コンピュータ技術開発機構および米国カーネギーメロン大学機械翻訳センターにて、自然言語の状況に依存した意味の形式化と、論理プログラミングを用いた法律の推論システムの開発に従事した。1995年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授、2000年同教授、2016年組織変更により同大学院大学先端科学技術研究科教授。自然言語の文法理論・形式意味論に基盤を置き、人工知能における言語・知識・信念の論理に従事する。特に近年は、動的認識論理(モデルの更新を行う様相論理)を用い、エージェント間におけるコミュニケーション・信念共有・信念変更の形式化および計算機実装を行っている。さらに、進化言語学において認知バイアスを導入する研究を遂行した。言語の文法理論を用いては、楽譜の言語学的構造に注目し、生成論的音楽理論に基づいて楽曲の木構造を生成する研究に成果を上げた。人工知能学会および情報処理学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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