内容説明
複雑で巨大なマーラーの交響曲は、自身が名指揮者だったこともあり、そのスコアの隅々に至るまで具体的かつ緻密な指示が書き込まれている。それはレパートリーにしていた作品でも同じで、しばしば大胆な編曲がなされた。しかし彼の早すぎる死は、いまだ解決できない多くの「謎」を残している。「ブルックナーの交響曲」の姉妹篇にあたる本書において、著者は膨大な資料をもとにこれらの謎に挑んでいる。〈1番〉〈2番〉では初期稿を中心に分析、ベートーヴェン〈第9〉の編曲版では複数の手稿譜を詳細に比較、〈6番〉では終楽章のハンマーが持つ意味を当時の証言から検討、〈10番〉では各種の版と自筆譜の書き込みについて新研究を披露する。
目次
第1章 初期の交響曲
第2章 指揮者・編曲者マーラー
第3章 後期の交響曲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
沖縄電鉄社長
1
『マーラー2』以降、新たな一冊を待望して20年近くになる。2020/05/17
NyanNyanShinji
0
同曲異版の鬼ネコケンさんによるマーラーの交響曲に関する本第一弾。第1交響曲と交響詩『巨人』や、第二交響曲と交響詩『葬礼』との究極の同曲異版問題を取り上げながら、第3,6,7,9,10については濃厚な楽曲解説。そしてマーラーによる編曲ものとして,バッハの管弦楽組曲,シューベルト・ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の弦楽合奏版,そしてシューマンの交響曲と相変わらずネコケンさんの守備範囲は広い。自分の様に譜例を半分すっ飛ばして読み物として読むのはこのシリーズの読者としては失格なのかも知れないがそれでも楽しく読み通せた2024/08/31