内容説明
現代中国政治の源流を解き明かす。
目次
序論 「人民代表会議」制度の研究の意義と課題
第1章 「人民代表会議」制度の目指す機能―中国共産党の「指導」・「正統性」
第2章 「人民代表会議」制度創成の歴史的文脈
第3章 「人民代表会議」制度創成をめぐる国外要因―国共内戦期の中ソ関係
第4章 「人民代表会議」制度創成をめぐる国内要因―党内における政治経済政策の相克と劉少奇の「天津講話」
第5章 「人民代表会議」制度創成の諸段階1―華北臨時人民代表大会(一九四八年八月)
第6章 「人民代表会議」制度創成の諸段階2―石家荘市人民代表大会(一九四九年七月)
第7章 「人民代表会議」制度創成の諸段階3―中国人民政治協商会議(一九四九年九月)
第8章 「人民代表会議」制度創成の理念―中国人民政治協商会議共同綱領(一九四九年九月)
第9章 創成期における「人民代表会議」制度の特質
結論 本書の成果と展望―中国政治体制の源流そして「人民代表大会」制度へ
著者等紹介
杜崎群傑[モリサキグンケツ]
1981年生まれ・福岡県出身。1996年福岡市立壱岐中学校卒業。1999年福岡県立福岡中央高等学校卒業。2003年中央大学経済学部国際経済学科卒業。2012年中央大学大学院法学研究科政治学専攻修了。博士(政治学)。九州大学大学院法学研究院助教を経て(2012‐2014年)、2014年から中央大学経済学部助教。専門は近現代中国政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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BLACK無糖好き
20
1940年代末、内戦の勝利を目前にした中国共産党が新しい政府を組織するにあたり、それまで根拠地において蓄積した経験に基づき、人民代表会議を開催していった。従来これは1954年に設立される人民代表大会制度のための臨時的な措置として位置づけられていたが、著者は、この人民代表会議制度のシステムが、その後の中国共産党への権力の集中「党国体制」化を可能にする源流と見ている。特に人民代表会議開催の過程において、「憲法制定権力」に準ずる、重要法案の作成権が共産党によって掌握されていった構図を解き明かした点は重要。2020/06/06