出版社内容情報
1巻 脱構築のポリティクス 2巻 美のポリティクス 3巻 法の他者 4巻 差異化する正義 5巻共同体と正義(未刊)
内容説明
セクシュアル・ハラスメントやドメスティック・バイオレンス、児童虐待など、ジェンダーと家族に関わる新たな「社会問題」の登場を契機として、「自己決定」する意志と能力を備えた「自由な主体」の間の公正としてイメージされてきた近代的「正義」観の限界が明らかになりつつある。第三者から客観的に見えにくい、そして当事者自身も自覚しにくい、いわゆる「こころの問題」に対して、いかなる“正義”を構想すべきか。自己決定至上主義とパターナリズムの二項対立に回収されない、「私的領域における正義」は可能なのか。デリダ、コーネル、スピヴァック、レイチョウの言説を導きの糸としながら、差異化しつつある正義について考える。
目次
第1章 共同体と「心」
第2章 コモンの現前と間隔化―共同体におけるパロールの功罪
第3章 父権制の脱構築―エンゲルス、デリダ、コーネル
第4章 抵抗する母性―子ども一時預かり施設「ばぁばサービスピノキオ」の実践から
第5章 森崎和江の言論の喚起するもの―詩的言語と媒介者
第6章 女同士の親密な関係と二つの「同性愛」―明治末から大正期における女性のセクシュアリティの問題化
第7章 排除/抵抗のレトリック―「差別事件」に向き合う「主体」の問題をめぐって
第8章 沈黙と女性―G.C.スピヴァクの視座
第9章 ポストコロニアルな差異:文化的正当化における教訓
第10章 フランスにおける都市底辺層の生き抜き戦略―「対抗」―労働市場からの離脱
第11章 カギとしての言語
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
金沢大学法学部教授。社会哲学
権安理[ゴンアンリ]
早稲田大学社会科学部助手。社会哲学
小森謙一郎[コモリケンイチロウ]
東京大学総合文化研究科言語情報専攻博士課程在籍。ヨーロッパ近現代思想・言語態理論
村田泰子[ムラタヤスコ]
京都大学・日本学術振興会。社会学・ジェンダー論
高原幸子[タカハラサチコ]
名古屋市男女平等参画推進センター・協働運営NPO室。フェミニズム理論
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