内容説明
“近代主義批判”を貫いた芥川文学―その主題的発想の展開の軌跡に、21世紀初頭の問題解明の道すじを見出すことも可能であろう。そうした芥川文学の“達成”と、その〈地下水〉とに迫った労作。
目次
蘆花と龍之介―近代散文成立への一つの道すじ
芥川文学と「謀叛論」―熊谷孝「なぜ、いま、芥川文学か」を読む
蘆花講演「謀叛論」考
「大導寺信輔の半生」―芥川文学の達成点
「大川の水」小論―白秋的世界との同質性と異質性
『赤光』と龍之介
「小品四種」の構成―古典との批判的な対決・葛藤
芥川龍之介、井伏鱒二とトオマス・マン
芥川とチエホフ―「秋」を中心に
「芥川とチエホフ」補遺―「薮の中」「六の宮の姫君」に即して
著者等紹介
佐藤嗣男[サトウツグオ]
1943年仙台市に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。法政大学大学院修士課程修了。現在、明治大学教授。著書に『井伏鱒二 山椒魚と蛙の世界』(武蔵野書房)。共編著に『芥川文学手帖』『井伏文学手帖』『太宰文学手帖』(以上、みずち書房)。主論文に「北村透谷」(『表現学大系』第9巻、教育出版センター)、「北杜夫」(『表現学大系』第16巻、教育出版センター)、「平出修と徳富蘆花」(『大逆事件に挑んだロマンチスト』同時代社)
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