内容説明
近代の女性作家たちが、女の場から、女の性や感情あるいは心性、社会的課題などを、どのようにとらえ、表現してきたか、ということを女性は制度によって創られているとの視点に立って、近代文学を読み直したい考えから本書は編集された。分量に制約があり、短編11編を選んだが、ある程度歴史的に展望できるように配したつもりである。当然、女性史、文学史の問題をからむ質のものが多く、それが広く見通せるように選択した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬見
11
「こわれ指輪」夫の改心って、えっ?そこ!?という突っ込みが入らなくもないけど、これが明治の限界と言うのならそうなのかもしれない。打ち破ったはずの既成概念の向こうにも既成概念の残滓は漂っている。 「生血」男と関係を持った翌朝、女は金魚を突き殺した。生臭さと澱みと、真夏の熱気と。研ぎ澄まされた身体感覚が昨日の世界を変えていく。強い光が色を飛ばす描写は、現実感や身体感覚、混乱を表していて良い。世界も自分の身体も変わってなんかいないけど、過剰な身体感覚は明らかに世界を違うものに見せている。2019/01/08
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