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出版社内容情報
目次
<第1巻第2分冊>
第8章 労働日
第9章 剰余価値率と剰余価値量
第4篇 相対的剰余価値の生産
第10章 相対的剰余価値の概念
第11章 協業
第12章 分業とマニュファクチュア
第13章 機械と大工業
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたま
33
第1分冊は、抽象的な論理の展開だった。第2分冊に入ると、具体的な労働現場の様子が描かれ、それを通して二つの基本的な考えが述べられる。一つは「絶対的剰余価値」の生産について。つまり、必要労働以上に延長された、資本の自己増殖のための剰余価値。もう一つは「相対的剰余価値」の生産について。つまり、生産の仕方の発展(協業→マニュファクチュア(工場制手工業)→機械制の大工場)が生み出す労働の密度(生産性、効率化、合理化等)の上昇によって発生する剰余価値。この二つは、現在でも労働問題となっていることに直結している。2022/05/06
Nobu A
11
カール・マルクス著書(翻訳版)2冊目。前巻を読了(厳密に言うと途中から超流し読み)したのが4年前。ずっと書架に埃を被って鎮座していた本書を意を決して漸く取ってみた。と一人前な事をほざいているが、そもそも前巻もまともに読んでいない。そんな状態で韋編三絶の境地なんか土台無理。今回も申し訳ないが、通勤電車とバスの中でパラパラ読み読了。巷間では名著と称されるが、その割には本サイトの登録者数が少な過ぎと思うのは俺だけ?時代背景も違うし、どしても字面だけ追って今一頭に入ってこないのが正直な感想。老後に再読かな。2025/05/30
tharaud
10
第2分冊は、「労働日」や「機械と大工業」など、当時の産業社会の状況が(そして資本家に対するマルクスの憎悪が)よくわかるジャーナリスティックな記述が多い。現在の労働法制というものが、いかに多くの犠牲と闘いの末に獲得されたものかがとてもよく理解できる。相対的剰余価値、絶対的剰余価値の概念は、自己犠牲的な労働を美徳とする(内なる)価値観に抵抗するための理論的な足場になりうる。2024/09/01
hitotoseno
8
この巻ではまず労働者は生産物を作るにあたって最低限必要とする労働時間ないし自らの使用価値を成立させるための労働時間(必要労働)、および剰余価値を生み出すための労働時間(剰余労働)という二重の労働時間を背負わされているという説明がなされる。その後、労働者たちがいかに劣悪なる環境で酷使されていたか、あまりにも法外な労働時間でもって資本家によって搾取されるに過ぎない剰余価値を生産しつづけていたか、ということが膨大なる資料によりつまびらかにされる。マルクスの資料蒐集のための努力がうかがわれるところである。2015/10/19
実存主義的マルクス主義者を目指して勉強するアライさん
5
第一分冊に比べると理論的な難度という点では読むのがだいぶ楽になるのだが、労働者がいかに労働力商品として人間扱いされず、酷い目に遭ってきたかが延々と具体的に書かれるので、内容的にはもはや精神的ブラクラの域に入りつつある。しかしこれが資本主義というシステムの暴力的な本質であり、目を背けずに敵の本性を見極める必要がある。理論的には相対的剰余価値の概念が導入される第十章が重要。家内工業→マニファクチュア→大工業という生産様式の発展の流れは理解できたが、実情に即して見てみるとその過程が錯綜していて難しい。2019/11/28