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- > ランダムハウス講談社文庫
内容説明
老人介護施設で暮らす98歳のグレイスの元へ、新進気鋭の女性映画監督が訪れた。「リヴァトン館」という貴族屋敷で起きた70年前の悲劇的な事件を映画化するため、唯一の生き証人であるグレイスに取材をしたいと言う。グレイスの脳裏に、リヴァトン館でメイドとして過ごした日々が、あざやかに蘇ってくる。そして墓まで持っていこうと決めていた、あの惨劇の真相も…。死を目前にした老女が語り始めた、驚愕の真実とは?気品漂う、切なく美しいミステリ。
著者等紹介
モートン,ケイト[モートン,ケイト][Morton,Kate]
オーストラリアの新人作家。夫、息子とともにクイーンズランド在住。デビュー作でもある『リヴァトン館』(原題The Shifting Fog)が2006年に母国で発表されるや、たちまちベストセラーとなった。イギリスではThe House at Rivertonと改題され、2007年にサンデータイムズ紙のベストセラー1位に。英テレビ・チャンネル4の人気バラエティ番組『リチャード&ジュディ・ショー』の夏の推薦図書にも選ばれ、ロングセラー化した
栗原百代[クリハラモモヨ]
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。東京学芸大学教育学修士修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
355
★★★★☆ 著者のデビュー作だが、既に重厚感に溢れている。 イギリスの旧家を舞台に、かつて起こった事件の真相を知るメイドだったグレイス。100歳を目前にしてついにその全貌を語る決心をする…という感じの話。上巻ではグレイス視点でリヴァトン館の住人の暮らしが淡々と描かれる。ミステリ感もあるが、それより純文学作品を読んでいる感覚になった。 戦争をスパイスにどことなく不穏な空気を漂わせる筆力は流石だが、この時点ではあまり物語に引き込まれる感じではない。グレイスの息子の話など、下巻では大きく動きそうな気配はある。2023/11/30
藤月はな(灯れ松明の火)
51
ケイト・モートンの処女作を遂に読む。彼女の作品特有のゴシック的でありながらも近現代史でもあるという面白さはやはり、初期から確立していたのだな。リヴァトン館でメイドとして奉公していたグレイスは回想する。リヴァトン館で教わった階級社会での生き方、初めての給金で買ってミステリーを読む至福の時、母の秘密、初恋、一次大戦時が残した傷跡と転換期、そして仕えていたハンナ・エメリン姉妹の事を・・・。シェル・ショックの痛ましさだけでなく、第一次世界大戦は固定化されていた階級と意識を如何に変えたかも言及されているのが興味深い2024/08/15
*maru*
40
『忘れられた花園』『秘密』に続いてケイト・モートン3作目。母の勧めでメイドとして丘の上のお屋敷・リヴァトン館に仕えることになった14歳の少女グレイス。美しき令嬢との出逢い、館を襲った悲劇…。当時を知る唯一の証人となった98歳の老女グレイスのもとに、一通の手紙が届く。鮮やかに甦る記憶と過去の亡霊たち。本書は著者のデビュー作だが、すでに貫禄すら漂う見事な語り口だ。まだそれほど大きな動きはないが、陽炎のように揺らめきながら“それ”が近づく気配がひしひしと。嗚呼…期待に胸をたっぷり膨らませながら、下巻へ。2019/07/24
kagetrasama-aoi(葵・橘)
36
「リヴァトン館」上巻。ケイト・モートン氏の処女作。100歳目前の老女グレイスの回想と現在の二つの時制でなる物語。先に読了した「忘れられた花園」の複雑さに比べて、時制のみの移動なので、把握し易かったです。タイトルの「リヴァトン館」はグレイスが14歳でメイドとして奉公したお屋敷。上階の支配者層と下階の召使層(執事を含めて)の対比が見事です。現在での登場人物がどのようにここに至るのかに興味津々です。詳しい感想は下巻で。2023/12/12
Small World
22
この後、「忘れられた花園」「秘密」「湖畔荘」と続いていくケイト・モートンのデビュー作を読み始めました。まったりとした上巻は予想通りで、その語りのペースと相まって、その時代の空気を感じさせてくれるのがモートンを読む楽しみです。その後の作品で見られる3時代の構成ではありませんが、過去と現在が混ざり合いながら進んでいきます。いつも誰かの意外な出自が明かされるのがパターンなのですが、処女作でも同様の仕掛けがあるのか楽しみにしながら下巻に進みます。2020/07/04
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