目次
第1部 ニューマンvs.キングズリー論争―カトリシズムとはなにか(発端「真実は徳にあらず」;開戦「ではニューマン博士はなにを意味しているのか?」;『アポロギア』の成立「心は心に語る」;『アポロギア』の意味 真の宗教的権威とは)
第2部 ホイッスラーvs.ラスキン裁判―芸術とはなにか(発端 グロヴナー・ギャラリー開設記念展;事件の背景;法廷にて;裁きのあと 明と暗と)
著者等紹介
荻野昌利[オギノマサトシ]
1933年、横浜市に生まれる。東京教育大学大学院修士課程修了(英文学専攻)。南山大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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美術評論の大家ラスキンvs孤高の天才画家ホイッスラーの、美術とは何かをめぐる裁判の様子を概括した論文を掲載。あまりにトホホな裁判の結果は知っていましたが、ラスキンの暗闇恐怖症の話やホイッスラーの唯美主義者との対立など興味深いエピソードにも触れられています。単に裁判の概略だけでなく、それを美術史上の保守派と革新派の対立の潮流の中で読み解くなども試みられています。また、バーン=ジョーンズの立ち位置も面白かった。2012/10/21
志村真幸
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ヴィクトリア時代イギリスにおける2つの筆禍事件を手がかりに、文化や芸術における時代/変化を読み解こうとした研究書だ。 聖職者のニューマンと小説家のキングズリーが争った事件では、紳士/紳士的という当時もっとも重視されていた概念があぶり出され、ラスキンとホイッスラーの事件では、「芸術」というものが大きく変化しつつあったことが明らかになる。 事件そのものも丁寧に紹介されており、おもしろい。 それにしても、筆禍事件からこんなふうに文化が読み解けるとは。研究は切り口次第なのだなと強く再認識させられた。2022/06/10