出版社内容情報
私情にとらわれ荊州を奪えない玄徳は、新野を焼き払い、進撃してきた曹軍に多大な被害を与えながら逃げた。玄徳と孔明は、難民を連れて襄陽についたが、城内で同士討ちがおきたのを見て、江陵へ進路を変える。荊州城に入った曹操は、玄徳追撃を命じる。長坂で曹軍に追いつかれた玄徳軍に、趙雲が寝返ったとの報告が飛びこんでくる。
目次:
難民/暗殺指令/長坂坡/風雲長坂橋/援軍きたる/百万曹軍
感想・レビュー
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gtn
18
曹操軍に追われ、赤子を抱きながら劉備妻が負傷。命がけで二人を見つけ出し、敵陣の中脱出させようとする趙雲に、子だけを託し、自分は足手まといになるからと井戸に身を投げる。赤子を胸に抱き、奇跡的に敵陣を逃れてきた趙雲に対し、「子供はまた生めば得られるが、良き将はまたと得られぬ」と労う劉備に涙する趙雲。曹操と部下のような上下関係や利害関係はそこにはない。魂で結ばれる関係。強くもあり、美しくもある。2024/02/09
SIN EIM
16
【当時、劉備夫人は二人】糜竺・糜芳の妹の糜夫人。千里行で同行し、井戸に飛び込んだがこの人。もう一人は正室の甘夫人で、劉禅の母親にあたる。横山三国志では夫人が一人のように描かれるが、本当は二人である。しかも、行方不明ではなく劉備が置き去りにしたという説がかなり有力。三国志が小学校図書になりつつある時代だったので、婦人二人が書きにくかったのか、書くためのページを惜しんだのか。非常事態で子どもを置き去りにするのは、儒教的には徳のある行為。子どもは枝葉、幹であり根である父のために犠牲になるのは当然だからだ。2025/05/07
わたー
15
★★★★☆長坂の撤退戦で1番印象的なのは、やはり敵軍の只中から劉備の一粒種である阿斗を救い出す趙雲だろう。阿斗が、後に稀代の暗君である劉禅に成長することだけは皮肉だが、主君の息子のために身命を賭す姿は普通にカッコいい。2020/03/28
できるだけ
8
襄陽城に入れず曹操軍に追われる劉備軍、民衆も従軍しているため遅々として進まず曹操軍に追い付かれ散り散りに‼️【朗報】趙雲無双‼️命懸けで阿斗を救う‼️長坂橋にて張飛単騎で曹操軍を抑え込み見事趙雲を窮地から救い出す‼️【悲報】この一騎当千の二人が助け出した阿斗は後の劉禅である💦★散り散りになった劉備軍だが主だった将を失う事なく窮地を脱し、孔明の案で先回りしていた関羽、窮地を聞き駆け付けてきた劉奇と合流。その後、先読み孔明が呉の使者魯粛と単身呉の国へ。2019/08/23
noko
7
長坂の戦いだ!曹操軍と劉備軍の全面対決だけど、荊州のゴタゴタも続いており、結果的に可哀想な犠牲者も出てしまった。劉備についていった難民も災難そのもので、ずっと歩かされて避難を続けることに。この時代の農民や町民は、こんなに戦果に巻き込まれるのでしょうか。趙雲のあの有名な活躍な話も出てきました。徐庶も苦労し続けているし、乱世は皆悲しい思いをしますね。ある意味、とてつもなく強い権力者が、丸っと平定してくれる世の中の方が犠牲者数は少なそう。2023/06/01
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