出版社内容情報
昭和30年、映画監督を目指す主人公の五堂顕(ごどう・あきら)は太平洋映画の助監督試験に落ちてしまう。だが、諦めきれずアルバイトを探しに来た撮影所で小火(ぼや)を消し止めたことから、照明部にスカウトされる。照明部のいちばん下の見習いからスタートした顕は、失敗を繰り返しながら現場で経験を積むうちに照明の魅力に引き込まれていく。まじめだが臨機応変で勉強熱心な顕は、徐々に監督や他のスタッフたちに好かれ、照明技師としての腕を上げていった。活気があり、エネルギーに満ち溢れていた映画の世界は、まさに娯楽の王様だった。
しかし、映画の栄光は長くは続かなかった。「電気紙芝居」とバカにされていたテレビがカラー放送を開始し、東京オリンピックで爆発的に売れたのだ。映画会社の衰退は著しく、スタッフたちは事実上解雇されてしまう。顕は、照明技師たちは、映画界はこの先どうなってしまうのか──。
もう一人の主役ともいえる女優の衣笠糸路(きぬがさ・いとじ)や初の女性脚本家、監督や俳優など、誰がモデルになっているのかを想像しながら読むのも楽しい。
ただならぬオーラを放つ俳優、そして名監督たちが綺羅星のごろく存在した時代。そして、刻々を移りゆく時代のなかで、それでも変わらない心揺さぶるもの、人が懸命に生きる姿を、松本清張賞受賞作家の著者が描く。
──本作は誰にでも楽しめる極上の娯楽小説だと思います。読めば元気が湧いてくる物語に仕上がっています。本作が映画化・ドラマ化された暁には、衣笠糸路の役は、ぜひ私に演らせてください! 糸路に魂を吹き込んでみせますので。(高島礼子/女優)
──「娯楽の王様」を支えた光当たらぬ技師たちの日々の研鑽と苦楽を照らし出し、映画スターが光り輝いていた時代の、明るく開放的な物語。(東えりか/書評家/「週刊現代」より)
内容説明
映画会社の助監督試験に落ちた五堂顕は、思いがけない出来事から照明技師として映画の世界へと足を踏み入れる。しかし、現場での理不尽な扱いに耐えきれず逃げ出したくなってしまったが、顕に手を差し伸べたのは、往年の女優・衣笠糸路だった。―娯楽の王様といわれた映画界を支え続けた「ライト・スタッフ」の熱き人間ドラマを描く渾身の作品!
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。会社員を経て、派遣社員として働きながら松竹シナリオ研究所で学ぶ。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら小説を執筆。2007年『邪剣始末』で作家デビュー。13年『月下上海』で松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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