出版社内容情報
鉄牛、母を殺した虎を見て絶叫す。
「おお…おっかを食っちまったのか。俺が今から親孝行をしようと思ったおっかを、食っちまったのか」
1日800里を走る戴宗は、宋江の処分について問い合わせる手紙を東京へ届けることになったが、梁山泊の一味と出会ってニセ手紙を持ち帰る。
ところが印鑑の文字から偽物であることが発覚し、戴宗も宋江とともに死刑に処されることになった。
処刑当日、鉄牛が刑場へ乗り込んだところへ、梁山泊の面々が救援に駆けつける。張順も船を出して助けた。
梁山泊の仲間となった宋江は、父を迎えに行くが、屋敷は役人に見張られていた。
目次:
第14章 梁山泊の救援
第15章 三巻の天書
第16章 おたずね者黒旋風
第17章 はかられた鉄牛
第18章 祝家荘の野望
第19章 苦境の梁山泊軍
第20章 登州府からの仲間
付録
水滸伝関連地図
水滸伝ビジュアル 宋江の故郷・宋家村(水堡郷)を訪ねて 文・後閑英雄 写真・浦充伸
水滸伝の中の酒豪たち 稲畑耕一郎(早稲田大学文学部教授)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤枝梅安
20
囚われた宋江を救うべく、梁山泊はニセの手紙を戴宗に持たせた。が、ニセ物であることが発覚し、戴宗も捕まってしまう。宋江と戴宗の処刑の日、梁山泊の精鋭たちが刑場を襲い救出する。宋江は、父を連れてくるため、故郷に向かうが、そこには見張りがついていた。黄信を初めとする梁山泊の仲間が宋江を救いに来ていた。その頃、祝家荘が梁山泊に軍を差し向けるとの情報が入る。凄惨な戦いにどうにか勝利を収めるが、多くの死者を出す。が、この戦いを通して扈三娘など、強兵たちが梁山泊に集まり始める。2010/10/16
gtn
15
命がけで父を梁山泊に招く宋江。それが羨ましくなった鉄牛が母を迎えに行くも、途上母が虎に食い殺される。「忠」より「孝」を尊ぶのが儒教。2023/09/07
ヤギ郎
8
シリーズ第3巻。目玉は梁山泊対祝家荘の戦い。英雄のように描かれているアウトローたちもこの戦いで苦戦する。手をこまねいていた前線にいる仲間たちに呉学人はある人達の話をする。これからも梁山泊に英雄たちが集まるようだ。2021/07/15
竜王五代の人
5
猟師の解珍・解宝兄弟の脱獄エピソードのある巻。巧みに鍵を壊させて、既成事実をつくる毛旦那は悪賢いし、周囲を動かす原動力となる、顧大嫂の激情家ぶり(巻き込まれて戸惑い焦りやけ酒くらう孫立のアクションも笑う)は解兄弟が頼りにするのも分かる。その夫・孫新が牢破りするんだ、と騒ぐ妻をなだめて段取りをしっかり整えていく婦唱夫随ぶりもヨシ。しかし、虎退治の話が二つもあるし、顧大嫂の渾名の「母大虫」も母トラの意味だし、どんだけトラづいてる巻なんだ。2025/05/11
hibimoriSitaro
2
再読。2002年5月初版。この巻は鉄牛の親孝行の結末がショックでショックでこどもにはトラウマになりかねない(虎だけに)。まった一丈青が不憫でならぬ。2016/02/12