出版社内容情報
韓信、背水の陣による勝因を明かす。
「部隊を絶体絶命の境地に立たせれば、誰もが必死に戦い勝利するというものだ。戦というものは兵法書の暗記で勝てるものではない。それをいかに応用するかにある」
范増は項羽に魏豹を謀反させるよう進言した。魏豹は占い師・許負におだてられ、簡単に謀反する。劉邦軍からは酈食其が魏豹の説得に赴くが、魏豹を翻意させることはできず、韓信が魏豹討伐に向かった。
韓信は、木をくり抜いた甕で筏を作らせ、別働隊をひそかに渡河させて背後から襲わせる。
挟み撃ちされた魏豹軍は総崩れとなり。魏豹は捕らえられた。
韓信が魏豹討伐に出撃したことを知った項羽は、大軍を率いて滎陽をめざした。
目次：
占師の予言／魏豹謀叛／魏豹の自信／木罌筏／奇襲／王陵の弱味／母の自害／にせ首／北伐行／兵法の初歩／代城陥落／強気の陳余／背水の陣／李左車の献策／反間の計／和睦の使者／計の仕上げ
付録
項羽と劉邦関連地図
陳勝・呉広が蜂起した大沢郷と范増の故郷巣湖を訪ねて 文／後閑英雄 写真／浦充伸
漢代の服飾と住宅 曹文柱（北京師範大学歴史学部教授）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
39
今回特筆すべきは、王陵の母です！項羽に人質にされて項羽に向かって「逆賊」と言い放ち、さらに交渉に利用されるくらいならと自害するという武将顔負けの覚悟の違う女性でした。母は強しですね。そして、相変わらず負けなしの韓信なんですが、こんなに強いなら漢王や劉邦じゃなくて韓信が天下を取れそうな気がしてなりません。この巻までのところ「項羽と劉邦」という題名じゃなくて「項羽と韓信」が相応しいかもしれません。2010/11/28
べる
14
王陵は頭が切れる人だが王陵の母がまた強い。母想いであることを利用されて心に迷いがあった王陵に自分の命で正しい道を示した。韓信は大活躍続き。敵を驚かせ混乱させるような想像のつかない作戦を立てるから面白い。戦は兵法書の暗記で勝てるものではなく、いかに応用するかにあると言う。絶体絶命の境地に立たせれば誰もが必死に戦い勝利することを示した背水の陣。明らかに兵力に差があったとしても戦は作戦次第であると強く分かった。韓信が不在の中出撃した項羽に対しては頼みとしている臣下が漢と内通していると噂を流して猜疑心をもたせる。2021/11/14
T K
10
王陵の母親は子を諌めるため自害し、魏豹の母は諌めなかったが子生かすため懇願した。どちらの母も子を愛している。愛しているがため諌め諌められなかった。どちらが正しいとは言えない。2014/06/17
とんかつラバー
9
月とスッポンの差の魏豹と王陵であるが、要因は母親の差か。ちょい役っぽい蒯通であるが、彼が真の王は劉邦でも項羽でもなく韓信ではないかと思い始める所から歯車が狂い始める。2021/10/29
Keiko
4
策の合戦が面白い‼️漢軍の無駄に血を流さぬ民を大事にする戦いは素晴らしい。会社でも力業より、人の心を掴む方がよい仕事に繋がりますからね。2021/06/16
