内容説明
小さい逸話やこぼれ話を通じてしか伝えられない何か微妙なものが人間にはある。父は娘によく見える眼と野太い強さと濃やかな親愛の情を残した。娘が書いた他人には見せなかった作家の素顔。
目次
第1章 転進
第2章 飛躍
第3章 大成
第4章 結晶
第5章 天命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろみ星☆
1
偉大な小説家でもあった父親への愛あふれる温かいまなざし感じる回顧録。小説家になりたての頃はまだ生活も安定していなかったせいか、父親に構ってもらった記憶がないというくだりが、自営業で休みなく働き、子どもと遊ぶ心の余裕もない夫の姿とダブります(T_T)一読者としても大好きな作家だと娘に言われるなんて井上靖はよき父親であったのですね。いいなあ。人とのつながりを大切にしたという姿に育ちの複雑さが知られてる故に幼少期頃を思うと切ない。でも、その気持ちが小説を生み出す力にもなったのかな。2014/02/10