出版社内容情報
火の鳥がとぶ年はかならずキキンの年。十二歳のあさは,火の鳥を退治しに,死んだ母の形見のかんざしをもって,一人で山に……。 小学生低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
118
火の鳥というと手塚治虫のイメージが強く善の神というイメージだったが、日照り不作をもたらす悪心という言い伝えもあるのだと知る。少女の正義漢の強さが胸を打つ。滝平さんの切り絵もすばらしい♪2016/07/03
つくよみ
50
図書館本:昔々の秋田、一人の少女が、火の鳥を退治しに行くお話。夜中に妹の面倒を見ているとき、星降る中を飢饉を呼ぶ火の鳥が飛び立つのを目撃した少女は、大人達が恐れて身を縮こめる事しか出来ない強敵を相手に、母の形見のかんざし一本で立ち向かうことを決意する。癖のある口調で紡がれる文章が、物語への強い求心力を持ち、話に引き込まれたところで、影絵のような骨太の版画絵がぐわっと目に飛び込んで来て、火の鳥の炎の勢いが熱を纏っているような迫力。少女の勇気が、秋田の尾去沢銅山を拓いたと言う伝説を描いた作品。2014/05/17
めしいらず
48
村の人のために火の鳥退治を一人でやり遂げる勇敢な少女の物語。対照的な大人たちの意気地なさが著しく説得力に欠ける。何もかもうまく行き過ぎてて何だかなぁ。2019/11/25
ゆうゆうpanda
36
九つで母を失って母親がわりになって家族をささえるあさ。夜中に美しい七色の光を見る。再生の象徴として描かれることの多い火の鳥が、この話では飢饉をもたらす悪役である。三年続けての飢饉では村がもたない。もう何も知らなかった九つの子供ではない。私が火の鳥を倒しに行く。あさの決意が凄まじい。12才だって子供なんだけどなぁ。手にする武器は珊瑚の簪。女の身を守るものとして母が形見に残したもの。火の鳥を倒す想定じゃなかったと思うけどね。大人になって色々なことが見えてくると捉え方も変わる。その処女性が神話の泉。2015/09/13
メタボン
33
☆☆☆☆☆ 斎藤隆介の世界観、滝平二郎の版画にすっかりはまった。黒を色調とした前半と赤を色調とした後半のコントラストが良い。火の鳥の出現シーンはすごい迫力を感じた。これが絵本の力か。子供が見るとすごいインパクトがあるんだろうな。そうか尾去沢鉱山の始まりのはなしかあ。2014/12/21