出版社内容情報
チェルノブイリの少女ターニャと、福島の少女なつこ。2人とも牧場の子豚をかわいがっていたが、原発事故で見捨てることに…。
内容説明
チェルノブイリの少女ターニャ、福島の少女なつこ。二人はそれぞれの国の農場で、こぶたのまるまる、ももを友だちとしてかわいがっていたが、原発事故で置き去りにしなければならなかった…。ロシアと日本、世界へとつながる物語。
著者等紹介
中澤晶子[ナカザワショウコ]
1953年、名古屋市生まれ。1991年『ジグソーステーション』(汐文社)で野間児童文芸新人賞受賞。日本児童文学者協会会員
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年、東京都生まれ。1985年ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクールで銀賞受賞。1995年『ガドルフの百合』(偕成社)で小学館絵画賞、1999年『真幸くあらば』(講談社)で講談社出版文化賞さし絵賞、2000年『あしたうちにねこがくるの』(講談社)で日本絵本賞、2009年『彼岸花はきつねのかんざし』で赤い鳥さし絵賞受賞。絵本、画集、挿絵作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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刹那
19
画家のあとがきに、ドンときました。2016/08/19
nanmatuko
19
チェルノブイリと福島原発事故で取り残されてしまった二匹の豚、それぞれの豚の視点で書かれた絵本。福島原発事故後の飼い主の立場から書かれた「希望の牧場」と共に本日入荷したので、どちらも読みました。二冊とも原発問題を考えるきっかけになる良書だと思います。2016/06/27
遠い日
18
中澤さんにはすでに『あしたは晴れた空の下で ぼくたちのチェルノブイリ』があるが、今、この本を書かねばならない思いに駆られたことを思うと、東京電力福島第一原子力発電所の事故で繰り返された後手後手の処理と、人と動物たちの関係に胸を痛め続けているからだろう。人間は住むところを捨てられる。残された動物たちにはなす術がない。いくら愛されたとしても、置き去りにされた場所で生き延びるしかない。残酷な仕打ちとわかっていても、人にもそれ以外の方法がない。悲しいです。腹立たしいです。思いを新たにします、わたしも。2016/04/29
いろ
15
図書館新刊棚で衝動借り。8歳も簡単に読める文章量だけど,今回は母(私)1人読み。子豚を飼うチェルノブイリの少女が放射能事故に遭う前半。その後,福島に滞在した時期に仲良くなった日本少女が母になって,子豚を飼う娘と放射能事故に遭い…子豚を置去りにする後半。話の重さを絵が少し和らげる。人の視点と豚の視点,それぞれに描かれてあって,各々のやりきれなさがジンと迫って来る。母親が豚に「よくも私の家を…!」という場面,その後,手紙を見つけ泣く場面がとても切ない。やっぱり,いつかは息子にも読んでもらいたい1冊,と思った。2016/06/16
スターライト
8
チェルノブイリと福島。二つの原発事故を、それぞれの女の子とこぶたの交流を通して語り掛ける。告発するでもなく、何かを声高に叫ぶわけでもないのに、いやそれだからこそ、あの事故からわたしたちが学ばねばならないことを訴えかけてくる。そしてそれは、わたしたちおとなが自分の子どもたちに、そしてそれに続く未来の世代に伝えていかなければならない。もう二度とこのような事故を起こしてはいけないのだと。2017/07/27