内容説明
この絵本の詩は、韓国の人々のくらしがまだあまり豊かでなかった、1980年初めに書かれました。この絵本でヨンイがもっているビニール傘は、日本でよく見かけるビニール傘とはちがっています。傘の骨は細い木で、ビニールもとても薄く、すぐに破けてしまいそうなものでした。布製の傘を買えない貧しい子どもたちは、このビニール傘を使ったのです。絵本の中の少女ヨンイにとっても大切な傘だったことでしょう。少女ヨンイのやさしさと勇気、そして、おじいさんのヨンイへの思いが雨の日に静かにしみわたる韓国の傑作絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rosemary*
50
ヨンイにとっても、唯一の大切なビニールがさであったであろうに。躊躇いながらも勇気を出した優しい気持ちと、それに応えてくれたおじいさんの思いが、圧倒的な絵と言葉少ない文章で心に響きます。暗い雨の中の緑が印象的。2015/07/04
花ママ
45
1980年代の韓国。ある雨の日の風景。今より貧しい人たちがいた時代が背景になっている。まず表紙と裏表紙いっぱいに描かれているヨンイの緑色のビニール傘に心惹かれました。梅雨の季節に、日本の絵本とはひと味違った表現で描かれているこの絵本を、小学4年生はどんな気持ちで聞いてくれるのか、楽しみです。 2024/07/07
たまきら
38
読み友さんの感想を読んで。私が子どもの頃、成田さんに行くと傷痍軍人さんたちが音楽を奏でていたり、駅前で静かに座っていたりしたのを思い出しました。美しい絵。ヨンイの破れたビニールがさ。先日モッポ在住の友人の息子が兵役を済ませ来日。何かの話からお金がなくて修学旅行に行けなかったこと、そういう子は彼一人ではなかったことを話してくれました。英語と日本語を流暢に話す好青年となった彼に、アジアの若者たちに、幸あれ。私たち年寄りはなんとかやってくから。2023/11/17
gtn
29
塀に立てかけられていた傘は、少女への謝辞か、おじいさんの矜持か。2020/08/06
keroppi
26
これも韓国の絵本。全編雨の音がしてきそうな絵。少女の優しさが光る。2017/06/11