内容説明
ずっと、いっしょにいようね―様々な理由で親と暮らせない子どもたちの「家」として創られた、児童養護施設「光の子どもの家」。子どもたちに寄り添い続けた30年の歩み。
目次
1 「家」となるために(児童養護施設「光の子どもの家」;子どもを取り巻く現実;家族に関わる;「働き」と「はたらき」;暮らしをつくる ほか)
2 光の子らしく―光の子どもの家の日常(「いなくなったりしないよ」;応援;傷;クリスマス;自分をあきらめない ほか)
光の子どもの家の三十年のこれからについて
著者等紹介
菅原哲男[スガワラテツオ]
1939年、秋田県羽後町に生まれる。青山学院大学物理教室助手。婦人保護施設「いずみ寮」、児童養護施設「城山学園」「愛泉寮」を経て、1985年、児童養護施設「光の子どもの家」を設立。施設長を務める。現在、同施設理事長。聖学院大学、足利短期大学、日本社会事業大学講師。日本地域看護学会会員
岩崎まり子[イワサキマリコ]
神奈川県横浜市に生まれる。和泉短期大学児童福祉学科卒業後、1985年、設立当初から児童養護施設「光の子どもの家」のはたらきに携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オカヤン
4
児童養護施設の現場から。ほぼノンフィクション。映画を見れず、本を読んだ。本文より「間違いを減じるに唯一有効な方法は、子育てについて取るべき方法が複数ある場合、もっとも困難で面倒な選択肢を選び取る勇気をいつも持てるようにすること。」子どもを育てるのがすごく大変な時代。自分も、モノではなく気持ちの余裕がないことを実感します。それでも、子どものために。豊かな社会のために。誰かがを、私がに。。2017/05/06
373
2
児童養護施設光のこどもの家のお話。ノンフィクションで施設長と保育士からの目線で描かれる児童養護施設の現状や、課題、一般で生きていると知り得ないことがたくさん書かれていた。まず私自身、児童養護施設と乳児院があることすら知らず、児童相談所との壁も知らなかった。被虐待児が増加の一途をたどっていることはニュースを見ていると分かるが、それも氷山の一角。保育士一人に対する子供の人数を減らすことにより絶対受容、その子のすべてを受け入れる体制を整えることは、保育士がとても大変だと思し、保育士様々だなぁって思う。★32021/10/27
きざはし
1
「光の子どもの家」自体は特殊な環境だが、そこには人間が人間たる普遍的な本質がある。子どもを親に代わって「絶対受容」すること。自分を犠牲にしてでもこの理想を追求しようとする方々の姿は感動的だ。ただし、この本の真の価値は、その理想に綻びが見えるところにあるのかもしれない。特に岩崎さんの文章には悩みと後悔が渦巻いている。表題「隣る人」に対して聖母様の様なイメージをもっていたが、保育士はあくまで一人の人間であるし、この形態にも限界がある。意図してかどうか、理想論だけでは片付かないことをこの本は提示していると思う。2020/07/08
オレンジstory
0
私も同じ分野に携わっている1人の大人として読んでいて考えさせられることが多い。そもそも入所に至る背景だったり抱えているものだったりと10人入れば、それこそ10通り。そんな中で一つ屋根の下で生活をしている。集団生活中心ではあるが「個」がある。その子にとっての最善とは何かはどこまでも続く。焦らず長い目で見ていく必要がある。 私が大事にしたいと思ったのが、子どもにとって安心と思える環境に、子どもが感じられる大人であり、それを目指していくこと。2017/05/14