出版社内容情報
我を忘れて、ナイチンゲール。
こんなナイチンゲール、聞いたことない!
鬼才文人アナキストが、かつてないナイチンゲールを語り出した。
それは聖女でもなく合理主義者でもなく、「近代的個人」の設定をやすやすと超える人だった。
「永遠の今」を生きる人だった。
救うものが救われて、救われたものが救ってゆく。
そんな新しい生の形式を日常生活につくりだせ。ケアの炎をまき散らせ。
看護は集団的な生の表現だ。
そう、看護は魂にふれる革命なのだ!
*「ケアをひらく」は株式会社医学書院の登録商標です。
【目次】
はじめに
第一章 ある日、とつぜん神はやってくる
第二章 憑依としての看護
第三章 つぎのキリストはおそらく女性だろう
第四章 ハンマーをもった天使
第五章 白衣じゃねえよ、黒衣だよ
第六章 運にまかせず、その身を賭けろ
参考文献
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
110
「シリーズケアをひらく」はどれも面白い。ナイチンゲールの伝記をアナーキスト栗原康が記す。編集者白石正明さんの慧眼です。クリミア戦争でバタバタ人が死んでいく中、彼女が考えていたことは「病気は自然の回復過程である」と。現場で問題があれば、経済力と衛生学と政治力でガンガン改善してゆく。ヴィクトリア女王と仲良くなり、統計学を使って1000頁の報告書を書き、病院の設計まで行い、過労でぶっ倒れるまで働いた。「看護はひとつの芸術であり、それは実際的かつ科学的な、系統だった訓練を必要とする芸術である」凄い人ですね。2024/03/15
榊原 香織
88
面白かった。ナイチンゲールて、過激、アナーキー、パンク、それでこの人が書いてるんだな(大杉栄とか書く人) 大金持ちで自己資金バンバン投入、パリピで人脈豊富。強烈に振り回すから周りが過労死 なんとなく持ってるイメージと全然違う。2024/07/06
どんぐり
72
なんだよ、この文体。思っていたとおり、『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』の栗原さんの語り口だ。いまさらながら思う、ぶっ飛んでるな。「白衣じゃないよ、黒衣だよ」と、まるで講談師風情だ。ナイチンゲールが神秘主義者になって展開するマジカル人物伝。面白くもないな。2024/08/14
たま
67
子どもの頃ナイチンゲールの伝記を読み(白衣の天使ではなく)お金持ちの部分が記憶に残った。帝国主義の先兵との評価も聞いた気がする。栗原さんの文体(ヒャッハーとか○○上等とか)が彼女の伝記に適しているかどうかやや疑問だが強烈な人格だったことは伝わって来た。修道女の看護が伝統のカトリック圏に比べイギリスでの看護の未発達、衛生観念ゼロのクリミア戦争での傷病兵の悲惨、その状況を粉砕する彼女の行動力と財力。統計を駆使して衛生学に貢献し看護学校や近代的病院を造る。確かに19世紀的大英帝国的だがやっぱり上等と思う。2024/06/04
やいっち
54
傑作。著者の筆力か、はたまたナイチンゲール自身の傑物ぶりゆえか、翔んだ本だった。感想はあとで。2024/03/11