内容説明
大人の精神科医×子どもの精神科医。専門の異なる2人の臨床家が大人の発達障害についてとことん語り合った至極の対談録。
目次
第1章 なぜ大人の発達障害なのか
第2章 知っておきたい発達障害の基礎知識
第3章 診断の話
第4章 治療とケア―どう捉え、どうするべきか
第5章 ADHDと学習障害
おわりに 一般の精神科医の先生方に望むこと
著者等紹介
宮岡等[ミヤオカヒトシ]
北里大学医学部精神科学主任教授。1955年生まれ。高知県出身。81年慶應義塾大学医学部卒業、88年同大大学院博士課程修了。東京都済生会中央病院、昭和大学医学部を経て、99年5月より現職。2006年4月からは北里大学東病院副院長を兼務
内山登紀夫[ウチヤマトキオ]
よこはま発達クリニック院長/福島大学大学院人間発達文化研究科学校臨床心理専攻教授。1956年生まれ。三重県出身。83年順天堂大学医学部卒業。東京都立梅ヶ丘病院(現・東京都小児総合医療センター)、大妻女子大学人間関係学部などを経て、2000年4月によこはま発達クリニック開院。2009年からは福島大学大学院教授を兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜間飛行
81
諸々の障害の鑑別や合併症の有無を見抜くのに、お医者さまは患者の話し方、目つき、生育歴などを慎重に診るようだ。例えば幻聴か知覚過敏か、妄想か拘りかでは全く違う。自分も発達障害的な所があるけれど、履修登録ができないとか、いつも座る席に誰かがいると押しのけちゃうとか…世の中にはもっと激しい人がいるのだ。発達障害のことを知らないと、なんだこいつと思って喧嘩になるかもしれないし、此方がストレスをためてしまうかもしれない。やはりこの問題は皆が意識しておく方がよいと思う。治すのではなく支援するという考え方は参考になる。2017/10/22
♪みどりpiyopiyo♪
58
大人を中心に診る一般精神科の医師(大学の教授)が、児童精神科医で発達障害の専門家である内山さんに教えを請う形で進む対談本です。■発達障害を診療する際に最低限必要な知識を一般精神科医に向けてまとめた本ですが、精神科以外の医師や医療職、福祉職の人にも分かりやすいと思います。発達障害の当事者や家族でも、これまで意識的に情報に触れてきた 勘のいい人なら、難なく読めると思います。■精神科以外のお医者さんや保健師さん、薬剤師さん、医療・福祉職の人も、ざっくりとこのくらいの理解は必要だと感じました。(2013年)(→続2017/08/24
Natsuko
22
大学医学部精神科学分野の主任教授と発達クリニック院長の対談。基礎知識に加え、今まで読んだ本のような、支援や対応方法がメインではなく、診断・鑑別にかなりのページを割いていて興味深い。発達障害=ASD(自閉症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)LD(学習障害)。発達障害の定義「生来性」「発達期での特製の出現」「病状の安定」。ASDの特徴は「社会性とコミュニケーションとイマジネーションの障害」。ADHDの要素=「不注意」「多動性」「衝動性」。2020/09/27
つなぐ
10
巷に溢れる発達障害の本の中では、対談形式で読みやすいわりに医療者向けに突っ込んだ内容が書かれていて、発達障害を何となく知っているレベルの人が更に何かを得ようと読むには良い本だと思います。例えば、知的障害の中にもIQの高い人にも発達障害はいるという事、うつ病の診断をするときに発達障害性というもう一つの軸を設定してみても良いのではないかとか、高齢者の中にも発達障害が含まれているとか色々となるほどと思わせる記述がありました。精神疾患の人と接するときは、発達特性はどうなのかをアセスメントする必要性を感じます。2018/08/01
Kei
8
興味のある人にはとても役に立つと思います。ただ、ちょっと専門的な鑑別点などもあり、より障害の強い人、実際にクリニックに行く人向けかなとは思います。現実には取り上げられている症例の水面下に自閉症スペクトラム寄りで日常生活にはあまり困ってないけれど状況特異的に困ったことになる人達が多数いるのだろうと思います。2014/05/19