内容説明
アルコール、薬物、ギャンブル、インターネット…“依存・嗜癖の時代”の精神科医への道しるべ。多くの臨床家が対応に困っている依存・嗜癖に関する諸問題について、その本質から診断、治療・支援の在り方までをわかりやすく解説した実践書。
目次
第1部 総論(あふれる「依存症」―依存と嗜癖はどう違うのか?)
第2部 アルコール・薬物依存症の問題への対応と考え方(臨床家が知っておきたい依存症治療の基本とコツ;精神病性障害(幻覚・妄想)を併存する薬物依存症者の治療と支援 ほか)
第3部 嗜癖の問題への対応と考え方(嗜癖の理解と治療的アプローチの基本;病的ギャンブリング―その概念と臨床類型 ほか)
第4部 回復支援施設からみた依存・嗜癖(ダルク入寮者にみる依存と嗜癖―どのような問題を抱え、どう対処しているのか;パチンコに耽溺する人の特性と支援について―NPOからみえる支援の課題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いまにえる
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最初私は、依存症について頭ごなしに否定して「病」を「治す」敵を視察するつもりでこの本を開いたが、精神医学の(特に臨床の)場においては、そうした理論に対して実践は違うのだと反発する向きも見えてむしろ共感を覚えた。ギャンブルによってお金を失うのではなく、お金の使い方に「問題」があるから、ギャンブルに出会った時にハマるのだという指摘や、パチンコがない西洋で作られた病的賭博の診断基準を日本に持ち込んで診断、治療するのは如何なものかという指摘は真っ当なものに思えた。今後も医学の立場からも依存症について考えてみたい。2019/02/13