内容説明
冷たい月の光がふたりを照らしていた。親友は自分の「罪」を告白している。だが、ぼくはその言葉も耳に入らなかった。なぜなら、地に映ったふたりの影から、第3の影が伸びてきたからだった。恐るべき人格を扱った表題作から、マッケン、ブラックウッド、ハートレー、デ・ラ・メアなどの巨匠の作品、無名作家の短編まで、名アンソロジストとして知られるシンシア・アスキスが選んだ、珠玉のゴースト・ストリー9編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
6
シンシア・アスキスによるアンソロジーで、こんな邦題だが別に分身譚を集めているわけではない(収録作のひとつから持ってきてるだけ)。そのデズモンド・マッカーシー「恐怖の分身」は罪の意識(良心?)が分身になって責め苛むというお手本のような作品。それとメアリ・ウェブ「執拗な幽霊」は自作のくだらない小説を出版させるために幽霊が延々つきまとう、幽霊って嫌がらせでやってるんじゃないの?という誰しもが持つ疑問を皮肉に料理している。デ・ラ・メア「世捨て人」も怪異より人の嫌らしさが滲み出る。とてもイギリス感ある一冊。2016/05/15
丰
0
Y-202006/10/10