出版社内容情報
潜入!収容所群島
30年前、ソビエト連邦消滅直後に垣間見た、“鉄のカーテン”の内幕。
ウクライナ侵攻で露わとなったロシア底流に淀むカオス
【ソ連崩壊直後の1992年に極東シベリアで撮影された、矯正労働収容所のドキュメント】
本書に収載される写真は、ソビエト連邦の消滅(1991年12月26日)から間もない1992年3月に、極東シベリア、ハバロフスク近郊にある2カ所の収容所(矯正労働収容所)を主な舞台として撮影したものである。
未開の地シベリアは、帝政ロシアの時代から犯罪者や戦争捕虜などに強制労働を課す抑留の地でもあった。ソビエトの時代、囚人を使役する収容所産業が、国家建設に欠くことのできない基幹事業として位置づけられていた。
ペレストロイカが浸透しつつあったソビエト連邦の末期、政治犯はほぼいなくなっていたが、おびただしい数の刑事犯を収容し、労働力として使役する収容所産業は絶えることなく稼働していた。そこでは、強権政治がもたらす世相から脱落した弱者でもある受刑者たちの、重苦しくも、淡々と過ぎゆく日常を垣間見ることができた。
この度世界は、ロシアによるウクライナ侵攻という凄惨な現実を突きつけられた。ウクライナから連れ去られた人々の一部は極東シベリアにまで強制移送される、とも報じられている。それが現実であるなら、写真家が30年前に垣間見た光景に、新たな要素が上書きされることになるのだろうか。
内容説明
一連の写真は、1992年3月に極東シベリアの収容所で撮影したもので、体制の崩壊により国家の内実が白日のもとに晒された希有な機会であった。シベリアは、帝政ロシアの時代から戦争捕虜や犯罪者などに強制労働を課す抑留の地でもあった。ロシアによるウクライナ武力侵攻により、100万人ともされる一般市民がロシアに拉致され、その一部は極東シベリアにまで強制移送される、とも報じられている。それが事実なら、これらの光景に21世紀ロシアの新たな要素が上書きされる。
著者等紹介
野町和嘉[ノマチカズヨシ]
1946年高知県生まれ。杵島隆に師事した後、1971年にフリーの写真家となる。1972年のサハラ砂漠への旅をきっかけとして、ナイル川、エチオピアなど、アフリカを広く取材する。1980年代後半からは、過酷な風土を生き抜く人々の営みと信仰をテーマとして、舞台を中近東、アジアに移し、中国、チベット等を取材。サウジアラビア側からの依頼により、イスラーム教聖地メッカでの長期の撮影を行う。2000年代以降は、アンデス、イラン、インド等を中心に取材。2016年より世界遺産を多く取材。土門拳賞、芸術選奨文部大臣新人賞、日本写真協会国際賞など受賞多数。2009年、紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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starbro
古本虫がさまよう