内容説明
駆逐艦は荒波にもまれ、きしり声を上げ、乗組員は船酔いに苦しむ。敵潜水艦の恐怖も間近に迫る。だが海の男たらだれもがあこがれる駆逐艦。その負けじ魂と共に彼らは戦いぬく。ある英国駆逐艦長の描く海の死闘。
目次
第1部 王国駆逐艦 レドベリー(艦長勤務開始;ソ連救援の船団;ソ連向け護送船団;ジブラルタルへの航海;マルタ向け護送船団)
第2部 王国駆逐艦 グレンビル(ふたたび練成訓練;ビスケー湾の饗宴;イギリス海峡;地中海;アンツィオ上陸作戦)
第3部 王国駆逐艦 ジャービス(ジブラルタルにて;「ノルマンディー」上陸作戦準備;フランス進攻;勝利近し)
付表 喪失イギリス駆逐鑑一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くたくた
41
WWⅡを3隻の駆逐艦で北海から地中海まで駆け回ったロジャー・P・ヒル艦長(英国海軍少佐)の本人による記録。極めて優秀かつたたき上げの駆逐艦乗り。艦長になるまでを大型艦で過ごすことが多かったが本人の夢は駆逐艦を指揮して戦うこと。念願どおり〈レドベリー〉〈グレンヴィル〉そして〈ジャーヴィス〉の艦長を歴任。従事した作戦はソ連向けPQ17、マルタ向け輸送船団、ビスケー湾のUボート掃討、カイロ会談にむかうチャーチル一向を載せた巡洋戦艦〈リナウン〉の護衛、そしてノルマンディー上陸作戦の援護など。PQ17については、2020/12/15
きりまん次ゃ郎
2
著者は大戦中三隻の駆逐艦の艦長を歴任。PQ17船団の護衛、ペデスタル作戦への従事、ドイツ駆逐艦との夜戦、対潜水艦戦、アンツィオ、ノルマンディー上陸作戦と多彩な作戦に従事している。実戦運用直後のHs293と思われる攻撃を受けたり、カイロ会議に出席するチャーチルが乗艦中のレナウンを慌しく護衛したり、ジョン・ハーヴェイ号事件直後の港へと入港したりと重要な歴史の局面にも遭遇している。また、PTSDと思われる症状への苦しみも詳細に書いており、勇敢な人物でさえ戦争という緊張状況によって神経を蝕まれる姿が垣間見れた。2014/02/05