内容説明
摂食障害、ALS、診断がつかない人、治療の道がない人、人種的マイノリティ―頭で理解した「あたりまえ」をすっ飛ばす、生きるための究極の工夫。どんなシビアな意思決定の場面でも、硬くならずにのびのびと「自分の心地よさ」に問いかけることができますように。
目次
第一章 体とまた出会いたい
第二章 脂は敵だから好き
第三章 日常にひそむスイッチ
第四章 帝国主義者のまなざし
第五章 電車の中のチマチョゴリ
第六章 希望と分断のお薬
第七章 グニャグニャでいてやろう
第八章 因果関係の外で
第九章 グレーの中で生きる
第十章 ベールの向こうに
第十一章 自分が花みたい
著者等紹介
伊藤亜紗[イトウアサ]
1979年生まれ。美学者。東京科学大学未来社会創成研究院DLab+ディレクター、リベラルアーツ研究教育院教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学(文学博士)。第一三回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、第四二回サントリー学芸賞、第一九回日本学術振興会賞、第一九回日本学士院学術奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
83
本書は「記憶する体」に続く、からだに関する著者のライフワークの研究のひとつであり、「居場所」をつくるとは、環境と折り合いを付けて体を環境と結び直すことだと述べています。自分とからだの関係に違和感どころではなく、「体は他人」と言い切る人や、ALSもからだを「液体の入った袋」と捉える人、不自由なからだを分身ロボットで調整する人など、想像の上をいく状況に対して環境をどう捉えるか興味が尽きない。その中でもPAPA症候群という世界に千人くらいしかいない珍しい病気の美佳さんが自ら病名を語らない理由が心に残ります。2026/05/30
けんとまん1007
58
体の居場所というタイトルを眼にした時、居場所ということを考えた。そこにいるべき・あるべき場所・状態。そんなことを思いつつ、読み進める。自分自身も、自分の体が思うに任せない時がある。しかし、ここで取り上げられている方たちの場合は、そえを遥かに超えている。肉体としての体だけなく、こころとの兼ね合い、社会での存在ということ。これだけ、多様なことが関係するのだと、考えることも多く、視野が広がる思いがする。単に、表面的ではないところへ、どれだけ思いを馳せることができるかを考えていこう。2026/05/29
おたま
53
ここには、「体の居場所」をうまく見つけれない11人の方からのインタビューと、そこから著者・伊藤亜紗がそのインタビューから考えたことが、11の章に渡って書かれている。「体の居場所」とは、物理的に、社会的に、環境と自分の体がフィットしている場のこと。ここには、そうしたフィットする場を得られない様々な人々の工夫が書かれている。工夫が必要になる理由は様々。摂食障害(過食、拒食)、ナルコレプシー、ALS(筋萎縮性側索硬化症)等の障害や病気の当事者や、そもそも病名の分からない人、治療の道が確立されていない人⇒2026/03/29
とよぽん
51
伊藤亜紗さんの着眼点というか、研究者に留まらないヒューマニティーに、まず圧倒された。自分の体が自分の意思にかかわらず思うようにならない人、難病や障害やコロナ後遺症などをかかえて生きる人にインタビューした11の章それぞれに、伊藤さんの探求心と温かいまなざしを感じた。体の居場所=心地よい状態を獲得するために、さまざまな創意工夫が凝らされ、介助者との絶妙なコンビネーションが形成されている。今までほとんど気にかけることのなかった諸々の事柄に目を向けることができた。2026/04/29
ケイティ
35
摂食障害やコロナ後遺症、ALSなど、自分の体がままならない11名の人びとへのインタビュー。何らかの病名や障害を抱える人だけでなく、診断がつかない、治療法がない、人種的マイノリティ意識による影響など想像の範疇を超える困難と共存している人も。特に印象深かったのが、身体症状症の方に芽生えた「欲望」の話に、体が受け身の存在ではないという証明だという著者の示唆だ。11名の生きていくための試行錯誤は、当事者でもそうでなくても、いない人なんていないことを知る、想像するきっかけとなる良書。2026/04/01




