- ホーム
- > 和書
- > コミック
- > 少年(中高生・一般)
- > 秋田書店 その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
23
なにこれ!すごく良い!すごく良い!リリカルでシニカルでマジカルな掌編集。一歩間違えたら青臭く、嘘臭く、説教臭くなりそうなギリギリのラインを見極めて余分を削ぎ落とした絵と物語に仕立て上げる手腕は見事の一言。チキタグーグーと同じような匂いがしているので、そっち系の話が好きなら迷わずおすすめ。下巻も楽しみ。2016/03/07
suzume
10
クジラ解体工場で働くコーヒーと煙草というアシカの話。擦りきれたフィルム映画のような、真夏の炎天下、地面に落ちた汗が見るまに乾きまたもとの地面の色をしてるのを見た時のような、不思議な感触。物語のそこかしこに死がありひやりとするが、日常の延長で意味なくふいに絶たれる命と、今はもういないあの人は確かにこうして生きていました、という時間が同じように描かれていて、死にも親しさを感じる。チェリーという女の子アシカは実に女らしい倦んだ悩みを抱え気だるく生きていて、どこまでも男の子なコーヒーと煙草との対比もまた可愛い。2016/01/23
nzmnzm
7
1992から96年にかけて連載された作品。繰り返される日常のなかで失われる(かも知れない)小さいけれど愛しい何かを、メタフィクション的手法を駆使して描く良作。手法や主題の洗練もさることながら、そもそもここに描かれている「愛しい何か」の可愛らしさこそが最強。2008/10/03
シンクウ
6
約20年程前の作品という事に驚く。きっと20年後に読んだとしても新鮮な読み心地を心底から感じていたんじゃなかろうか。志保さんが見せてくれる世界は何時だって鋭い。けど尖ってはいなくて、球体のような丸みとクリームのような円やかさにほっこりしつつ、だけど一話一話読み終える度にその絵柄からは思いも寄らない透明感ある鋭さを知らず突き付けられていて、時に怯んだり和んだり。素晴らしいんだけど末恐ろしい、よく分かれないのだけれどなんだか忘れがたい、そんな上巻でした。さて下巻や如何に…この物語の終わり処とか想像できんなぁ。2011/07/03
なおこっか
5
小川洋子の『原稿零枚日記』を読みながら連想したのが『船を建てる』だったので、再読。漂泊と喪失。船上で地上を夢みる心もとなさ。そんな空気感、二作に通じるものがある気がする。今まで気に入った章だけ何度も開いていたけれど、通読すると正にこの作品こそが「パレード」。続いてくれるよう願わずにいられない。2010/09/05




