内容説明
ともだちなんて、いらない!友情なんて、信じられない!胸にいっぱいの思いを、わたし、小説に書こうと思う。でも、小説って、なにを、どういうふうに、書けばいいの?―小学校6年生の女の子の、ゆれうごく心の成長をあざやかに描いて、力強く、胸を打つ児童文学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
不識庵
9
一子という小学生が小説に挑戦する。ネタを集める過程で、彼女は人生の実際を垣間見ていくことなる。世の中はくだらないと思うことは、子どものころに既に経験する。しかし、それは全てではない。気づける大人はどれだけいるか。いつのまにやら私のまわりには、10、0で人や物事を判断する者が溢れていた。私自身も時にそういう判断を下してしまう。それを行わないのが小説家である。脇の人物が豊かに描かれれば、主人公もいきいきして、作者から巣立ち読者のものとなる。人に対して手抜きはしない、独自の目を持つ。それらが小説家に必須である。2020/08/13
ひとみ
3
六年生の一子は「友達なんていらない」という思いを胸に抱えており、それを小説にぶつけようと考えている。新米小説家のおばさんが一子の指導を買ってでてくれることになり、一子はまず事の発端になった出来事からノートにつけ始めるのだった…。五年生だった時からの人間関係を振り返ることで冒頭の不機嫌さや人間関係のしがらみが終盤で読者にも分かり、六年生になった一子の内面の変化を感じさせ、「小説の書き方」なのに小説を書く手前で終わる等凝った構成。読み終わった後にじわじわと胸に迫るものがあった。2014/07/15
k
2
10年ぶりに再読。「恵子おばさん」が若いこと(23歳)に驚く。内容に吉田とし自身の矜持とも取れる児童文学考が挟まっているのも面白い。一子がまっすぐで好きだ。2013/04/25
ナウシカ
1
童話創作のクラスの先生の批評を読んで、面白そうだと思って入手。吉田としの作品は初めて読んだが、素晴らしい! 「小説を書こうと思うような人間は、ことばとか字にたいして、鈍感じゃいけないんだよ」とか、「哲っちゃんのまわりの人間や、できごとが、どれも生き生きと書いてあると、そのまん中にいる哲っちゃんは、いっそう生き生きとしてくるんだよ」など、翻訳家として曲がりなりにも<小説>に携わっている一人として、どきりとするような言葉がたくさんあった。恵子おばさんが、うふう、うふうと泣きながらごはんをかきこむ姿が、とても印2010/04/08
ともち
0
古いので捨てようと思っていた本の1つ。なにげに読み始めてしまって一気読み。 自分の想いや感じたこと、相手のことをメモでもなんでも書いていくことって重要なのだな。古い本だけど、今の子どもたちにも読んで欲しい。捨てるのやめとく。2013/01/11
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- 和書
- 寺よ、変われ 岩波新書