出版社内容情報
「ぞうさん」など数多くの童謡を生んだまど・みちお。独自の宇宙観にあふれる詩の世界をつくりあげた、その人生を伝えます。
内容説明
五歳のとき、家族と別れて暮らすことになった少年は、小さな生き物や草花をみつめ、耳をすまし、美しい世界にひきこまれていきます。新しい詩人まど・みちおの感覚は、そうしてみがかれました。
目次
1 ひとりぼっちの子ども
2 詩を作り始めたころ
3 同人誌『昆虫列車』での活躍
4 兵士として東南アジアへ
5 戦後―童謡「ぞうさん」の誕生
6 兄さんの死と宇宙的な抽象画
7 最初の詩集『てんぷらぴりぴり』で開花
8 阪田寛夫との出会い
9 国際アンデルセン賞作家賞の受賞
10 百歳になっても“ふしぎがり”
資料
著者等紹介
谷悦子[タニエツコ]
徳島県出身。大阪教育大学大学院修了。梅花女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
105
まど・みちおの伝記。これまで詩集以外は読んだことがなかったので、この詩人の生涯が本書を通して、よく分かるようになった。一番心を動かされたのは、太平洋戦争の時に書いた戦争協力の詩を、自分の全集に入れたというエピソードだった。「自分の良心が承知しません」ということで、収録したそうだ。戦争中は多くの作家や詩人が、戦意高揚の作品を書いてしまった。それはある程度仕方がないことだと思うが、まどさんのように自分の汚点と言える作品を隠さない態度は潔い。このような純粋さが、あの優しさあふれる詩を生み出したのだろう。2016/08/25
Aya Murakami
90
図書館本 毒ガス(といっても眠くなるだけの効果、戦争なんかしてないで昼寝でもしていよう!という意味合い)が戦争批判作品の代表作として紹介されていますが、大砲が地球を一周して自滅するポン博士も気になります。なんだか博士の異常な愛情を連想させてしまうので。 宇宙飛行士の毛利さんがまどみちおさんを科学者として尊敬していたというエピソードは初耳ながら驚きでした。!と?はセンスオブワンダーですからね…。2021/03/21
ヒラP@ehon.gohon
26
童謡や詩ではよく知っているまど・みちおさんでしたが、彼の生立ちを知って、ますますまどさんが好きになりました。親と離れて祖父母と暮らしたこと、台湾で暮らしていたこと、戦争の中で国のための作品を作った負い目、様々なエピソードの中に、まどさんの魅力がいっぱいでした。2022/10/03
ソラーレ
12
まど・みちおさんは詩人です。その詩を読むと、心がほっこりと温かくなります。自然をよく観察し、その姿を短い言葉でうまく表現しています。まどさんの詩は、一度読んだだけではすぐに深く理解するのが難しいかもしれません。でも、何度も読みながら、その情景を頭に思い浮かべていくと、少しずつ面白さがにじんでくるように感じます。心が温かくなるのは、まどさんが観察した「あるがままの自然の姿」を通して、私たちの「あるがままの自分」も肯定してくれているからなのだと思いました。2025/07/14
チロル
12
図書館本。童謡「ぞうさん」で知られる まどさん。小学生の時、国語の教科書に詩「おさるがふねをかきました」があって、歌にもなっていて…好きな作品だったなぁ(^^)とても優しい性格は、彼が住んでいた土地と、家族間での生活の在りかたがそうさせたのではないでしょうか。後に「戦争詩を書いて、ごめんなさい」と謝っている まどさんに、とても素晴らしい人という印象を強くさせました。明治生まれのまどさん、昔気質でなく、男女平等を常に心に抱いて、弱いものに目を向ける姿には、尊敬の眼差しをむけます♪2020/01/26
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