出版社内容情報
小5になる春、知里は海で呼びとめられ、不思議な約束をする。クラスに自分の子が転校するので友だちになってほしい、という人魚と。その言葉通り、転校生として海野夏がやってきた。すぐに人気者になった夏だが、自己紹介で性別を明かしていなかった。しかし、掃除の時間に話しかけてきた夏は、知里に秘密を教える。自分は人魚だということを……。将来を決めるため陸に上がった人魚の子と、友だちの秘密を守り抜く少年の物語。
内容説明
春、知里は海で呼びとめられ、不思議な約束をする。自分の子と友だちになってほしいという、人魚と。その言葉どおり、転校生として海野夏がやってきた。男子にも女子にも見える夏は、性別を明かさなかった。しかし夏は、知里にだけ自分の秘密を教える…。陸に上がった人魚の子と、友だちの秘密を知った少年の物語。
著者等紹介
嘉成晴香[カナリハルカ]
1987年、和歌山県生まれ。作家、詩人、日本語教師。中学2年生のとき、詩集『会いたくなったらいつでも会える』(文芸社)を刊行。2013年、朝日学生新聞社児童文学賞を受賞。受賞作『星空点呼 折りたたみ傘を探して』(朝日学生新聞社)を刊行し、2014年、第43回児童文芸新人賞を受賞する。日本児童文芸家協会会員
まめふく[マメフク]
千葉県生まれ。イラストレーター。児童書や雑誌、文具や雑貨などのイラストで活躍。装画を手がけた作品は多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみねこ
79
小5になったばかりの小谷知里のクラスにひとりの転校生がやって来た。男子にも女子にも見える美しい「海野夏」。夏の秘密を知っているのは知里ただひとり。ジェンダーや友情、清々しい物語でした。嘉成晴香さん、初読み。2021/10/13
はる
66
繊細なタッチが好みでした。優しい友情の物語。転校生としてやってきた夏は男子にも女子にも見える不思議な子。すぐに人気者になる夏だが、その正体を知っている少年・知里は…。ジェンダーの問題を人魚という設定で描くアイデアが素敵だと思います。はじめはいじめっ子かと思った子が実はとても優しい少年だったりして、少しずつ打ち解けて仲間になっていく展開が爽やかでした。2021/09/11
がらくたどん
65
内気な僕のクラスに転校してきた「夏」は人魚。で、人魚は大人になるまで性別が決まらない。人魚は自分が人魚だってことを信頼できると思った人に話してその人がちゃんと一年間秘密を護ってくれたら大人になっても人の世界と行き来ができる。小学生だって自分の生きている社会の「ふつう」の中で生きている。それは大事な事。でも、もしその「ふつう」に当てはまらない人に出会ったら自分の普通の隣には誰かの普通もあるんだなって思って「ふつう」の枠を少し広げてみれば良い。ジェンダー・アウティング・共生をファンタジーの泡で包んだ優しい作品2023/07/08
梅ちゃん
23
この物語が第69回産経児童出版文化賞の【フジテレビ賞】を受賞し、新聞で発表されていたので手に取る。 春、知里は海でであった人魚に呼びとめられ、まもなく転校してくる自分の子と友だちになってほしいと言われる。まもなく海野夏がやってくる。夏は男子にも女子にも見えるが性別を明かさない。 意地悪そうな子も登場するが、みんないい子で話は終わる。ジェンダーフリーを意識した物語。でも、小学校高学年、思春期の一番『性』を意識する年頃やろうになぁ。2022/06/27
かな
22
夏という名前の人魚と小学5年生のちーくんの物語。友達になったレオは自分よりひとのことを考えられる友達想いのいいやつ。スズも優しい女の子。福本君は少しだけいやなやつ。人魚の秘密を共有したチー。1年間その秘密を守り通すと、夏は陸で生活できる権利を得る。人魚を大人になって性別がきまる。1年間の思い出とともに海に帰って行った夏。夏は男になるのか女になるのか、そしてチーやレオのところへ帰って来るのか?セクシャルマイノリティについて、児童向けに書かれたお話でした。このあとどうなったか続きが気になるところです。2021/08/03