出版社内容情報
自然豊かな岬のとったんで、海水をくみ上げ、塩をつくる人が、味見をきっかけに見る不思議な世界を描いた絵本。モデルとなった塩田では、組み上げた竹のやぐらに海水をかけ、太陽の熱や海風にさらして濃い塩水をとり、解体工事から出た廃材を燃やしたかまどの火で塩を炊いています。作者は、このときに出た灰に接着剤を混ぜたもので、原画のスミ線を描きました。あとがきでは、実際の塩作りも紹介しています。
内容説明
「わかめ、ゆらゆら…。わたしたちは、海。」波、打ちよせる海辺に、塩をつくるところがある。自然豊かな岬で、海水をくみあげ、昔ながらのやり方で塩をつくる男が、味見をきっかけに見る世界を、幻想的に描いた絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
46
海が人の身体に溶けていく・・・図書館に展示してあり、絵本のタイトルとしては地味?だなと、気になって読んでみた。なるほど、海水から塩をとる作業を、海の視点で描いたユニークな絵本だった。牧野伊三夫さんの作品を初めて読んだ。画風も独特の味わいがあって面白い。2023/11/27
ヒラP@ehon.gohon
22
海という広大なものを主人公にして、塩をつくる男の汗のしょっぱさのような絵本です。 海水から塩が精製される工程を描きなから、作り出された塩は、海である意識を変えません。 だから、舐められて体内に入っても、塩分となった塩は海で有り続けるのです。 私は塩をなめて海を思い浮かべることはありませんが、海が好きなのはそんなことによるのでしょうか。 実際の製塩所をモデルにしながら、牧野さんのイマジネーションは壮大です。2023/06/18
ヒラP@ehon.gohon
7
【再度】大人のための絵本2024/10/15
遠い日
5
主人公の海が語る。塩作りの過程を通して見える自然との関係や、海塩が人間の体に取り込まれて機能すること。太陽の光と風、塩作りの男が大汗をかきながら薪をくべ、海水を煮詰めていくようす、自分が変化していくさまを訥々と語る。福岡県の糸島半島にある製塩所「工房とったん」の平川秀一さんをモデルにしたこのお話は事実に基づく地に足の着いた底力を感じさせてくれる。2023/04/21
茶太郎
2
海水で塩作りする男性に焦点を当てた内容。今もこの製法で塩を作っているところがあると知りました。自然と向き合う姿にぐっときます。2024/10/18