内容説明
企業社会の競争秩序の中で「底辺」の位置を押しつけられた「生活困難層」、彼らの学校・教師体験を通して、日本の教育と地域社会の構造にひそむ問題点を照射する。
目次
序章 階層分化と学校システム―その底力をみつめて
1章 孤立する生活困難層―その労働と親子関係
2章 家族の子育て・教育ストラテジー―生活困難層の親の願いと苦悩
3章 生活困難層の青年の学校「不適応」―彼らはそれをどう体験しているか
4章 学校から見えるヴェール一重―教師・学校にとっての生活困難層
5章 地域社会での〈階層化秩序〉と生活困難層―〈うわさの階層構造〉と孤立・敵対のメカニズム
終章 生活困難層と学校システム―現状と展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつゆう
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1章は分析が少し弱い。2章は保護者の語りを中心に社会的に不利な立場の人達の教育における傾向が見て取れるが、ジェンダーなど、もっと大きなイデオロギーとの関係にも触れてほしかった。3章は子どもの語りが中心。学校からの離脱を肯定も断罪もせず、冷静に経過を見る姿勢は好感。4章は教師サイドの視点から。P・ウィリスの教師ー生徒論の応用が示唆に富んでいる。5章は噂の分析から市営住宅のもつ客観的記号性がいかに主観的な境界感覚になるかを示している。こうした実地研究が「近代」など大きな文脈でもっと語られると更に面白そうだ。2012/11/15
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