内容説明
「9.11」以後表面化した危機的状況打開の道を、1968年の世界的な体制批判運動に示された精神のなかに探る。
目次
第1章 「9・11」と「一九六八年」の精神(二つの「ナショナリズム」;事件の背景 ほか)
第2章 世なおし事はじめ
第3章 「六八年」再考―二つのノート(二つの若者像―「明治百年記念」にみる「体制」と反「体制」;学生運動と「部分」的人間)
第4章 一九六八年をめぐって(アメリカの六八年;学生運動について;プラハの「夢」)
感想・レビュー
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leppe
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加藤周一は、シュヴァイツァーには良心的知識人としての植民地主義批判の視座が欠けていると批判する。彼の、アフリカでの医療行為は、なるほど主観的な意図としては、人道的かもしれないが、その実「父性愛」を通してのものであり、現地の人々とは、対等な関係を築けていなかったのではないかと。対して、フランツ・ファノンは、医師としてアルジェリア独立戦争で活動してるうちに、その医師としての活動以上に、フランスによるアルジェリアの支配という構造を打破することが重要ではないかと気づき、解放戦線へと身を投じる。2015/11/30