内容説明
「読む脳」科学の世界的リーダーが、紙の本の大切さを明かすとともに、次代に求められる「バイリテラシー脳」を提唱!紙の本が、記憶力・分析力・創造力・共感力を高めるわけ。脳がデジタル・モードになると、読み方はどう変わる?脳の発達に応じた「読み書き力」「デジタル力」の育て方。
目次
第1の手紙 デジタル文化は「読む脳」をどう変える?
第2の手紙 文字を読む脳の驚くべき光景
第3の手紙 「深い読み」は、絶滅寸前?
第4の手紙 これまでの読み手はどうなるか
第5の手紙 デジタル時代の子育て
第6の手紙 紙とデジタルをどう両立させるか
第7の手紙 読み方を教える
第8の手紙 バイリテラシーの脳を育てる
第9の手紙 読み手よ、わが家に帰りましょう
著者等紹介
ウルフ,メアリアン[ウルフ,メアリアン] [Wolf,Maryanne]
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教育・情報学大学院の「ディスレクシア・多様な学習者・社会的公正センター」所長。前・タフツ大学の「読字・言語研究センター」所長。専門は認知神経科学、発達心理学、ディスレクシア研究。その優れた業績により、多数の賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
39
書籍の環境は変わり紙媒体での読書は減少傾向にあり、電子書籍の登場に始まり実用的な対話型AIの存在はさらにその流れを加速させると思われます。人類にとってこれからの”読む能力”の未来を真剣に論じる本書では、脳神経科学の観点から文字を読む際に人間の脳では何が起きているかを解説。そこから紙とデジタルで読んだ場合の比較、そしてSMS等の短い文章とデジタルで読む割合が高い世代の読解力についての考察等が続きます。デジタルの否定ではない、読書で得られる唯一無二の貴重な時間が失われないようにとの真摯な祈りのような本でした。2023/08/14
ミライ
38
「デジタル本」と「紙の本」を読む際、記憶力・分析力・創造力・共感力に関して、双方にどれくらいの差が生まれるかの研究結果を元に、「読書脳」をいかに育てるかを論じた一冊(全編手紙形式で語られる)。研究の結果「紙の本>>>デジタル本」であり、デジタルの場合移ろいやすい傾向が生まれ、注意散漫になり読書に集中できず、結果本の理解力にも差がでてくるそうだ。といいつつも現代~未来になるほどデジタル化は避けられず、脳の発達に応じて幼少時代からのデジタル本(オーディオブックも含む)と紙の本とのうまい共存方法も模索する。2020/02/14
Miyoshi Hirotaka
36
読み書きの能力は最初から備わっているものではなく、遺伝もしないので、教育で脳を鍛える。また、人間の脳は書籍によっても変化した。巻物から冊子に変わり、索引が付いたことで、批評が誕生したが、文脈より意味が重視され、同じ本から違う思想が生まれてきた。デジタルの出現は、これに比類する変化をもたらしている。例えると、本は減速、インターネットは加速。同じ読字でも読み方が違う。デジタルに偏ると自分がどう考えるかを分析する能力が失われる。紙の読字は内省。知恵になる知識には金では買えない時間が必要。デジタルと紙の両立が鍵。2023/05/07
サアベドラ
33
デジタル時代における読字と読字教育の在り方を考える本。著者は『プルーストとイカ』を書いた人。インターネットとデジタルデバイスの登場により、人が一日に読む文字量は飛躍的に増加したが、それにより紙の本の時代にじっくり読むことで培われた「深く読む力」は衰退傾向にあり、この傾向はデジタルネイティブ世代ほど顕著であるという。両者のどちらが良いかという問題ではなく、デジタル時代の素早く大量に読む能力とそれ以前の深くじっくり読む能力をいかに両立させるかが問題で、後半ではそのために必要な読字教育の在り方を提案している。2020/08/10
ま
28
デジタルデバイスから読むことと紙媒体で読むこととは、思った以上に異なる行為だった。ちょっと難解だけど、紙媒体の物理的な感覚が深く読む回路を育むらしい。デジタルデバイスは拾い読み、斜め読みに適している(というか、そういう読み方に流れやすい)。デジタルで読むのが必ずしも悪ではなく、発達段階や目的に沿って使い分け、どちらの読み方も使いこなそうということか。2024/09/05
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