- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > ティーンズ・ファンタジー
- > 徳間デュアル文庫
内容説明
彼はライオン―鮮やかなオレンジ色の髪をなびかせ、無骨なハンド・キャノンを携えた美貌の少年。そして“虚の世界”を操る、類まれな「反在士」。全銀河を巨大なゲーム盤として、果てなく戦い続ける二大勢力、“紅后”と“白王”によって故郷を滅ぼされた彼は、復讐を誓って火星の地に現れたのだ。しかし宇宙は、超跳躍航法「アリス・ドライブ」の乱用により、ほころび始めていた…。単行本未収録作二篇と書き下ろしによって補完された、幻想味あふれるスペースオペラ、シリーズ初の完全版。
著者等紹介
川又千秋[カワマタチアキ]
1948年12月4日、北海道生まれ。慶応義塾大学文学部国文科卒業。広告代理店勤務を経て、著述専業に。1981年、「火星人先史」で第12回星雲賞長篇部門受賞。1984年、「幻詩狩り」で第5回日本SF大賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Empirestar
1
米ソ冷戦時代を揶揄しつつも、『鏡の国のアリス』をネタにしたメタ的・概念的SFの傑作。読んだ感じは山田正紀<神獣戦線>とも近いのだが、川又作品はよりゲーム理論的に読む解くことが可能。循環性という意味では、書き下ろしの「反在士の指環」の章が加わったことにより、エンパイア・スター的な再帰的収束に成功している。 2008/07/03
タケミチ
0
『反在士の鏡』に未収録短篇二篇を加えて、さらに書き下ろしの一篇を加えた増補版。スペースオペラの骨組みに、『鏡の国のアリス』のモチーフを使った虚実の入り乱れた幻想味が加わっている。解説の牧野修の言葉のとおり(この解説がアツイ)カッコイイ物語。2015/10/02
hal0609
0
ほぼ30年ぶりの再読。全く覚えてませんでした。出だしの文章こそぎこちないもののお話自体も古びていません。アリスの鏡という舞台装置が、シンプルなスペースオペラから虚実の境界が不明瞭となった不条理な世界へと導きます。作者としては「反在士の鏡で」お話は完結していたようです。追加の二編はやや外伝的な扱いですし、最終の書下ろしはお話を完結させているものの文体からして別人かと思われるほど文体が洗練されていますし唐突な印象です。 それでも面白かったことに間違いありません。2013/07/20
ちゃと
0
何度読んでも、その度に美しく脆い世界観に圧倒される。そして私の小さな脳細胞は描かれる全ての光景を映像として同時再生している。そうさせる力のある作品だ。2012/10/06