内容説明
初井希美は婚約者の千住光一を待っていた。母と父代わりの伯父に会わせるためだ。だが彼は現れず、そのまま行方不明に。連載していた限界集落をテーマにしたフォトエッセイの写真を手がかりに、希美は島根へと向かう。そこに光一の妹から、彼の元交際相手も失踪しているという知らせが。二人は一緒なのか?怒りと悲しみがない交ぜになりながらも希美は光一の足跡を追う…。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年京都市生まれ。塾講師、教材出版社、広告代理店などを経て、92年コピーライターとして独立する。2004年、立教学院創立130周年記念行事「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」企画の一環として創設された第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を短篇ミステリー「黒い鶴」で受賞。06年『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。2023年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちえちゃん
10
弘永徳蔵氏の手記の方が面白かった。徳蔵を主人公にしてその半生の物語にした方が良かったんじゃないかと思う。2024/04/05
田中峰和
7
職場ではお局様に疎外され居場所がないので、早く光一と結婚して退職したい希美。カメラマンの光一は失踪し、希美は彼の妹の美彩と光一捜査の旅に出る。一緒に失踪したのが光一の元カノの優子だとわかり、彼のことを全然知らなかったことにショックを受ける。怪しい優子だが、彼女の研究の出資者徳蔵が彼らの失踪と関係することが分ってくる。徳蔵は戦災孤児で、戦後の苦難を乗り越え、今や実業家。水俣病と水質汚染、限界集落をニュータウンとして再生する計画。希美は失踪の真実に近づくにつれ、疑惑は徳蔵から優子に移っていく。環境ミステリ。2024/01/30
JKD
6
希美の婚約者、光一は撮影で島根県の限界集落に行ったが音信不通になる。自宅に送信された写真を頼りに現地へ向かったところ優子という元カノの存在が浮かび彼女と行動を共にしている疑惑があがった。恋愛感情を揺さぶられつつ事実確認に奔走する希美は限界集落の再生事業に尽力する弘永徳蔵の存在との接点から真相を探っていく。前半はあぁでもない、こうでもないが延々続くが環境問題と失踪事件の関係を紐解いていく過程は興味深かったです。サブストーリーの徳蔵手記は本題よりも面白かったりして。重厚な2時間ドラマを観たような感じでした。2023/08/26
よーさん
2
★★★☆2025/03/20
mimimimimemo12
1
婚約者でカメラマンの光一が、元カノ優子と行方不明に。光一の妹とともに希は光一達の行方を探す。「生命」に関して、戦時中のなんとかして生き延びようとする命や限界集落という村の命、そして心中かと疑われる2人の命。同じ生命でも様々な観点で捉えられるのが味わいあって深い。「水」への想いも同様。どうにかして生きる術をもちたい人、どうにかして自分の信念を貫きたい人、いろんな価値観がある。この均衡が破壊されると人間関係も破壊されてしまう。2024/09/27
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