出版社内容情報
大手観光会社社長のお抱えパイロット朝日奈順は、単独飛行中、燃料もれのため、海上に墜落し、九死に一生を得たものの、事故のショックで失語症になってしまった。さらに意外なことに、会社はなぜか手回しよく朝日奈の緊急失踪宣告を裁判所に請求しており、しかも彼を認めないのである! 言葉を奪われ、存在を否定された朝日奈は虚無と絶望の涯てに、事故の真相を追跡すべく立ちあがった。
内容説明
大手観光会社社長の自家用機のパイロットをしている朝日奈順は、九州から東京に一人で戻る途中、燃料洩れのため、海上に墜落してしまう。運良く離島の漁師に救われ、助かるが、事故のショックから失語症になってしまった。一カ月後、東京に戻った朝日奈は、衝撃の事実を知る。すでに自分の死亡届が出されており、しかも同乗していなかったはずの社長が墜落死したことになっていたのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中玉ケビン砂糖
57
「喋れない」「口がきけない」、いわゆる言語障害のある主人公というのは、表現上大きなリスクを伴う反面、ミステリ的作劇においてはひとつのアドバンテージとなる。本作では後天的かつごく限定的なものなので手話を介せるというわけでもなく、イエスかノーの意思表示以外に何かを伝える場合には「文字」「ジェスチャー」「音」「間」「表情」「仕種」など様々な身体的表現を駆使して他人に意味を伝えなければならない。他方でそれは2022/12/11
コマンドー者
0
陰謀に巻き込まれた孤独な男の真相解明劇を描くサスペンス編。中盤で一旦事件が解決したと思わせて、最後はどんでん返しと、笹沢氏らしい作品。笹沢作品としてはしかし中くらいの出来か。2022/11/12