出版社内容情報
揉み消し屋九十郎。賄いとして雇う天涯孤独の童女お七がつくる心温まる料理に癒されながら、難事件に挑む。書下し長篇剣戟。
内容説明
揉め事の内済を生業とする九十九九十郎を地酒問屋“三雲屋”の女将が訪ね、七雁新三という博徒の素性を調べてほしいと大金を預ける。新三は岩槻城下の貸元に草鞋を脱いでいるらしい。三雲屋も女将も岩槻の出身だった。九十郎は貸元を訪ねる。二十一年前、藩勘定方が酒造の運上冥加を巡る不正を疑われ、藩を追われた。三雲屋が藩御用達になったのはそれからという…書下し長篇時代剣戟。
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。出版社勤務を経て作家となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
106
仕舞屋侍「夏の雁」4巻。何時もながら鮮やかですね九十九九十郎さんと藤五郎さん、派手さは感じないんですが重さわたっぷり、小さな揉め事と大きな揉め事が関連付けられ最後はきっちりと仕舞われました。2018/03/22
のびすけ
27
仕舞屋・九十九九十郎の今回の仕事は、地酒問屋「三雲屋」のお女将・お曾良からの依頼で、七雁新三という人物の素性を探ること。新三の素性を探るうち、酒造に絡んだ不正の実態と過去に起きたある事故の真実が明らかに…。お曾良と新三の悲しい過去に胸が一杯になる。辻堂魁さんが描く「裏で甘い蜜を吸う善人面の腐れ役人」が相変わらず腹立たしい!今回もお七の作る料理が美味しそうで堪らない。そんなお七は塾で学問をすることを九十郎に勧められる。そろそろお七の物語も読みたいなぁ。2021/06/04
ベルるるる
27
三雲屋の女将の武士だった父親は不正で家族を捨てて逃げた事にされ、逃げようとして川でおぼれて死んだ事にされた。家は改易となり母は極貧の中で病死、自分も6歳で女衒に売られ吉原へ、兄は浮浪児に・・・。でも事実は無実の父は陥れられ殺されていた。その陥れた男達の一人が自分を吉原から身請けした夫だった。・・・私ならこれから夫婦として生きていけない。2019/05/14
真理そら
15
3巻の『青紬の女』が良かったので4巻目が期待外れになるかもと読むのをためらっていた。が、辻堂作品の魅力全開で読み応えがあった。この作者はこういう情念系?がとてもうまい。主人公がパッとしない雰囲気なのもいい。三雲屋貫左衛門の描き方が丁寧なのが良い。2018/04/20
ぶんぶん
14
【図書館】相変わらず良い味を出している。 仕舞屋侍シリーズ、第4弾! 冒頭、渡良瀬川の渡し船で初老の旅人が船から落ちて死ぬ、これが後々の大騒動の幕開けとは・・・ 九十九九十郎、ますます渋みが掛かって来た、老眼鏡まで掛けている。 旗本家のゴタゴタを片付けている九十九に新たな依頼が。 三雲屋の女将から「七雁新三」と言う博徒の素性を調べて欲しいと。 三雲屋、新三、二人に関係する「岩槻」を訪ねるのだが・・・徐々に真相に行きつく九十郎の捜査法が圧倒的な面白味を生む。 「風の市兵衛」と甲乙着け辛い辻堂作品。2018/05/23
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