出版社内容情報
狩野派の若き天才永徳は、いかにして傑作「洛中洛外図屏風」をものにしたのか。圧倒的迫力で描く「絵師小説」の決定版!
内容説明
「予の天下を描け」。将軍足利義輝からの依頼に狩野源四郎は苦悩していた。織田信長が勢力を伸ばし虎視耽々と京を狙う中、将軍はどのような天下を思い描いているのか―。手本を写すだけの修業に疑問を抱き、狩野派の枠を超えるべく研鑽を積んできた源四郎は、己のすべてをかけて、この難題に挑む!国宝「洛中洛外図屏風」はいかにして描かれたのか。狩野永徳の闘いに迫る傑作絵師小説。
著者等紹介
谷津矢車[ヤツヤグルマ]
1986年東京都生まれ。駒澤大学文学部卒。2012年、「蒲生の記」で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。13年『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
70
祖父が作った粉本通りに描くのはつまらないと考え、見たままに書きたいと考えた狩野永徳の苦悩。父・祖父・得意先の商人、三人とも永徳の才能に気づいていながらも、三者三様に異なる反応が巧みに描かれている。そんな永徳の才能を一番に気づいたのが足利将軍義輝というのが、なんとも印象的だった。2019/06/14
豆電球
13
描写がくどかったり表現がストレート過ぎたりで良くも悪くも若々しい。その分熱量はすごい。若き日の狩野永徳を描く筆致としてはそれが合っていたのかも。登場人物も想定の範囲内で動くので驚きなどはないけれど安心して没頭出来るという良い点も。ただ狩野派はもっとエリート集団だっただろうし権威もありプライドも高かったと思うので、松栄の劣等感ばかりがクローズアップされすぎて狩野派の凄さがあまり伝わってこなかったのが残念。粉本をただなぞるだけの集団みたいな描かれ方にはやや不満あり。個人的には永徳より等伯が好きなんですけどね。2022/11/22
田中峰和
7
永徳の祖父狩野元信は優れた絵師であると同時に商売上手だった。自分の作品をなぞる紛本を息子の松栄に描かせることで、狩野派の隆盛を支えた。孫の永徳は、それに飽き足らず、オリジナル作品に拘った。紛本に執着する松栄と永徳の対立が物語の一つの柱。もう一つの柱は、スポンサーとなる足利義輝との交流。後に有名となる洛中洛外図のような作品は義輝みたいな依頼者があって可能なもの。本来の狩野家の生業は扇の絵を粉本によって大量生産することだったらしい。将軍家の衰退と新たな支配者の台頭、弱肉強食は絵師の世界でもあったのだと納得。2020/01/17
kanki
5
狩野永徳の歩く道。足利義輝との交流。「自分を通す、周りから人はいなくなる、暗闇を1人、しかし1条の光が差し込む」2020/04/12
トラジ
5
以前に読んだことのある作品だった。読み終わるまで気づかなかったとは情けない。拙い文章と直截な表現。だからだろう、勢いがあり熱量も感じる。序と終りを繋げる構成も巧く嵌っている。今後に期待。2018/02/13
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