内容説明
「目がおかしくなったみたい。景色がぶれて見える」―標高3193メートルの南アルプス北岳山頂に立ったとき、息子・涼に高山病の兆候がみえ始めた。早めの下山を決意した父の滝川だが、途中で立ち寄った山小屋には誰ひとりとしていなかった。いったいこの山で何が起こったのか―?想像を絶するカタストロフィを描いた表題作など8篇の怪異譚にくわえ、新作『闇の底より』を特別収録!
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年、山口県生まれ。明治学院大学法学部卒業。雑誌記者、フリーライターなどを経たのち、ライトノベル作家としてデビュー。1997年に初の本格冒険小説『頭弾』(講談社)を上梓し、『狼は瞑らない』『光の山脈』(いずれも角川春樹事務所)などを経て、2008年に刊行した『約束の地』(光文社)で、翌年、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞を受賞。現在は南アルプスの麓、標高750メートルの寒山に暮らし、野生鳥獣の保全管理活動にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
小梅
73
2019年山の日に山の本。短編集で山の話しばかりではないが、怖さもあり夏にピッタリでした。 読メで読了本1000冊目でした。2019/08/22
goro@the_booby
47
山モノの短編集かと思いきや、意外な樋口作品でした。全体的にSF調ですが、表題作やその続編「リセット」や「渓にて」は恐ろしく切ない終末物語。「渓にて」の主人公達のように従容と過ごせるか分からないが、心静かに迎えたいと思う。2017/07/25
AICHAN
39
図書館本。樋口明雄は『約束の地』以来。タイトルから登山ものだと最初は思ったが、そのあとにレビューを読んで推理もの、怪異譚の短編集だと知って読んだ(とはいえ各短編の多くは山岳もの)。幽霊、鹿神(ししがみ)さまが出てきて「うへ~」と思ったら核戦争が起きちゃって「うひゃーっ」とドン引きし、最後には全電力停止で全世界の原発から放射性物質が放出され全世界が汚染されてしまうという怖さ。単なるホラーものやSFではなく、それぞれ深いメッセージを込めた作品ばかりだった。文章と構成のレベルが高くて感心させられた。2017/08/28
tetsu
25
★4 山にまつわるホラー短編。 表題作の「標高二八00米」がなかなかいい。この表題作の続編として東日本大震災直後に書かれた「リセット」もなかなか考えさせられる。2016/03/03
ピロ
25
書店で目に入って手に。チラッと背表紙見て、本格登山モノだと。で、読みはじめてビックリ。。。ホラーでした。。。背表紙をよく見てみると、『8篇の怪異譚。。。』って、しっかり書いてあるやん。。。まぁ、登山に関係あるお話しが多くて、それなりに、引き込まれたのだけど。表題作は、なんだか中途半端に終わっちゃって、その後は?って思ってたら、最後のお話しが続編でした。それがまた、まさかの展開に。。。そして、ラストは???ってなり。。。本格的登山モノが読みたかったなーというのが正直な感想。でも、ナカナカ面白かったデス。2015/04/05