内容説明
あやかしをみる不思議な瞳を持つ作家水守響呼は、その能力ゆえに世界に心を閉ざし、孤独に生きてきた。ある雨の夜、妹を捜してひとの街を訪れた妖怪の少女を救ったことをきっかけに、クラシックホテル『竜宮ホテル』で暮らすことに。紫陽花が咲き乱れ南国の木々が葉をそよがせるそのホテルでの日々は魔法と奇跡に彩られて…。美しい癒しと再生の物語!書下し「旅の猫 風の翼」を収録。
著者等紹介
村山早紀[ムラヤマサキ]
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞受賞、同作品で第四回椋鳩十児童文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
131
大人が楽しむ”おとぎ話”、村山さんが描くファンタジーの世界。今日この作品を読んだ私は、一時現実世界から抜け出し、幸せな夢を見せていただいたように感じました。そして、小説の中の世界だけではなく、感動は現実と架空世界の境界線を超えて読者の元へとやってくる、そんな風にも感じました。美しい表現に酔い、優しい言葉に癒され、そして幸せな気持ちになれる読書。ああ、ファンタジーっていいなあ、そんな思いが自然と湧き上がってきた素晴らしい作品でした。2020/09/15
hirune
116
人を幸せにする力を持つということは、自分や自分の愛する人の分の幸せをあげてしまうこと。切ない設定ですが、竜宮ホテルで響呼さんが少しずつ過去を乗り越えて未来に希望を見出す、優しいお話しでした。猫耳+尻尾のひなぎくと煮干しをポリポリ食べる管狐がやたら可愛いの。番外編で死後王子様に迎えに来てもらった星塚さん、猫のしろ子さんも連れていって欲しかったな。魂同士になったのだから、いつかは再会できるのかしら☆次の巻をぜひ読みたいです、この本は図書館5ヶ月ちょっと待ちましたけど(^_^;)2014/07/22
おかむー
93
悲しみを含みつつも穏やかにほほえましいファンタジー。登場人物のキャラが立ってて好感触です。『よくできました』。主人公・響呼が物語の舞台となる竜宮ホテルに落ち着くまでの展開と人の繋がりかたに少々“過ぎる”感はあるものの、表紙にもなっている猫娘ひなぎくと二匹のくだぎつねの微笑ましさで大目にみてしまおう。響呼の生い立ちと、たった一度会っただけの父への後悔と救いが描かれる本編と、ひなぎくの視点からの竜宮ホテルの暮らしが描かれた番外編「旅の猫 風の翼」を合わせてよい読後感ですね。2015/02/28
七色一味
83
読破。「僕は物語というのは、読後に読者を幸福にするものであるべきと思ってるんです」・・・ですね。2013/09/13
財布にジャック
81
風早の街には、こんなに素敵なホテルまであったとは…知りませんでした。表紙のこの猫耳の女の子と肩に乗っている小さな2匹のきつねが、可愛すぎてノックアウトされました。猫耳のひなぎくちゃんに逢いたいです。もう猫好きには堪らないです。内容はいつもどおりのほわほわしたファンタジーですが、優しいお話を求めて読んでいる読者を裏切らない安定した作品で、ストレスだらけの現実から少しの間でも逃避するにはもってこいでした。2013/05/30