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出版社内容情報
いち早く「多様性」を推進してきた欧米社会でなぜ憎悪と対立が拡大したのか。おかしいと思っても声に出せない同調圧力と矛盾。
内容説明
行き過ぎた「多様性尊重」は社会をどう破壊したのか。LGBT、フェミニズム、反レイシズムをめぐりダイバーシティ先進国で広がる欺瞞と対立とは。『西洋の自死』の著者が挑む新たなタブー。
目次
第1章 ゲイ(あらゆることがゲイの問題になる;ゲイの人生は一方通行なのか? ほか)
第2章 女性(「LOVE YOU」;男性をとりこにする ほか)
第3章 人種(学界;「問題視」されたアーミー・ハマー ほか)
第4章 トランスジェンダー(異常ではない部分;間性 ほか)
著者等紹介
マレー,ダグラス[マレー,ダグラス] [Murray,Douglas]
1979年生まれ。英国人ジャーナリスト、政治・社会評論家。英国の代表的雑誌の一つ「スペクテイター」誌の共同編集者。英国議会、欧州議会、ホワイトハウスでの講演実績もある。自らゲイであることを公表している
山田美明[ヤマダヨシアキ]
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
96
社会的公正、アイデンティティ・ポリティクス、インターセクショナリティ(性・人種・性的指向などのアイデンティティが複数重なることによって起こる特有の差別や抑圧に関する研究)をとおしてLGBT、フェミニズム、反レイシズム運動をとらえた本。ダイバーシティの視点からすると、あらゆる人々に好きな生き方を認めるのは、私たちの社会が達成した何よりも重要な世界といえる。しかし、果たしてこの行き着く先には何が待っているのか。→2024/11/18
HANA
75
欧米や我が国で猖獗を極めるキャンセルカルチャー。そこは一見多様性があるようでありながら、政治的に正しい意見だけが認められる空間。本書は欧米のポリティカルコレクトネスの問題点を豊富な実例と共に紹介されている。各章はゲイや女性、人種にトランスジェンダーといずれも現在における分断を象徴しているようなテーマばかり。収められた実例はいずれも読んでいて暗澹とするので、間奏として書かれた「ゆるしについて」が唯一の安息みたいにも感じるなあ。人々の過去は今後も掘り起こされ、世界はますます細かく分かたれていくんだろうなあ。2022/12/03
Sam
66
ダイバーシティ先進国で起きている「不都合な真実」を、ゲイ・女性・人種・トランスジェンダーの4つの視点から描いたもの。「進歩」や「多様性」を理念とした取組がいつの間にか退行的で多様性を欠いた暴力的な言説のうねりとなって人や社会を毀損していく様が多くの実例とともに描かれる。本書が取り上げる「ダイバーシティ先進国」は欧米であって日本は入っていないのだが、その事実を恥じるよりむしろ安堵してしまった。大部ではあるけれども非常に興味深く、勉強にもなる好著(後書きも必読)。前著「西洋の自死」も併せて読んでみたい。2022/05/15
姉勤
47
黒人たちが"Black lives matter"でなく"Everyone lives matter"と唱えられれば、彼らを劣等と嘲る事など誰も出来なかったろうが、一部ではあるが、Black likes masterの様に振舞い、錯誤したメッセージをばら撒いた。人種だけでなく、自らを弱者と規定し、下剋上による名声や快感を得るための詭弁と脅迫を正当化する言動は”先進国”に吹き荒れ、日本国内にも輸入された。所詮エゴに張り付いた理屈ならいずれ淘汰されると思うが、反動する怨念返しの快感に抗えるか。理性の正念場。2022/09/08
ふみあき
37
ざっくり言ってポリコレ批判の書。今年に入ってこの手の本を3冊読んでいて(いずれも日本人著者によるもの)、それらの記述には首を傾げる箇所もあったが、本書には満腔の賛意を表したい。500頁近い大部だけど、英国人らしい機知に富んだ文体でサクサク読ませる。巻頭にG・K・チェスタトンの警句と、ニッキー・ミナージュの身も蓋もない歌詞が並んで引用されているところから笑った。欧米における「文化全体に地雷がしかけられている」例証の数々には暗澹たる気分になる。ノンバイナリーとか言い出した宇多田ヒカルに本書の感想を聞きたい。2022/06/23