出版社内容情報
時代小説史上、もっとも残忍な男!? 清水次郎長一家に突然加わった旅の博徒、皐月雨の晋八の無慈悲な暴力を描くハード剣戟!
内容説明
次郎長一家に突然やって来た旅の博徒、皐月雨の晋八。森の石松を窮地から救ったのが縁で、一家に草鞋を脱ぐことになった。素性を問われても笑顔でかわすばかり。不気味だが、とにかく腕は立つ。折しも、次郎長一家は甲州の卯吉一家と抗争の真っただ中。晋八は即戦力として一家の客分となるが―。この男、なぜここまで無慈悲に人を斬れるのか?
著者等紹介
矢野隆[ヤノタカシ]
1976年福岡県生まれ。2008年「蛇衆」で第21回小説すばる新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
233
読ませる部分もあるにはある。特に序盤、晋八の登場から、瀬戸に向かうあたりまでは、登場人物それぞれが、裏に何かを隠し持っているような不気味さが、とても良い雰囲気を醸す。晋八の過去が明らかになりだし、仙右衛門が現れてから、徐々に期待外れな方向に進み、人物的な意味でも剣の強さでも、晋八が一気に俗物化してしまったことで、物語が失速。ラストで次郎長が見せる、博徒の非情な一面も、インパクトはあったが、もう少し仕込みに頁を割いて、丁寧に持っていって欲しかったところ。何が描きたかったのかが、イマイチ見えない作品だった。2022/07/03
ポチ
49
清水の次郎長の子分の晋八が主人公。この晋八がメチャクチャで人を殺すのが楽しみという人物だが、哀れでもあるなぁ。次郎長も奥が深くて中々いい親分。サラッと読了。2022/03/15
Book Lover Mr.Garakuta
16
【図書館】【速読】:清水の次郎長の客分晋八の物語。2022/02/20
あここ
7
面白かった。清水の次郎長、森の石松って聞いたことあるだけで接したことなかった。任侠団体。史実なのか空想なんか区別つかん。人物像とかも作家さんによって違うかもしれんし読んでみたいなぁ。今作は次郎長一家に近づいてきた謎の客人、晋八目線。次郎長さんたちは脇か?と思いつつラストでガッツリ存在感。まるっと主役喰ってゾクゾクした。これが博徒。ただの殺し屋になってしもうた晋八には見切れんかった。本性見せへん。見せたら終わり。命懸け。親分への信頼、一家の結束は羨ましい…けど博徒。何か複雑やなぁ。子分のキャラも良かった。 2022/02/05
dragonfly
3
清水の次郎長が出てくると知り読んだ。次郎長一家に流れ着いた晋八が主人公。深みはなかったがすらすら読めた。次郎長関連では、北方の『草莽枯れ行く』がお勧め。2022/03/12