社会が漂白され尽くす前に―開沼博対談集

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  • サイズ B6判/ページ数 316p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784198644581
  • NDC分類 361.04
  • Cコード C0036

出版社内容情報

ヤクザ、AV、歓楽街、北朝鮮、基地移設、原発事故…国家がなかったことにしたい不都合な真実を当事者と共に問う社会学の挑戦!

内容説明

私たちの日常から「不可視化」されていく現代日本の真実。北朝鮮・沖縄米軍基地・飛田新地・AV・ヤクザ・歓楽街と風営法・死刑・震災と福島…「漂白される社会」と対峙する者たちと開沼社会学、対話篇。

目次

女の子を夢中にさせてしまうAV界の構造(鈴木涼美(作家・社会学者))
飛田新地があるから行き場を失わぬ人がいる(杉坂圭介(飛田新地スカウトマン))
ヤクザを「存在しないもの」として扱う社会(阿武野勝彦(東海テレビ・プロデューサー) 土方宏史(東海テレビ・監督))
北朝鮮の生活者を撮ることで何が見えるか(初沢亜利(写真家))
クラブだけじゃない過剰規制と脱法化の進行(磯部涼(音楽ライター))
被害者遺族が望まない加害者の死刑もある(大山寛人(殺人事件被害者遺族・加害者家族))
震災後の福島に思う等身大の違和感(和合亮一(詩人))

著者等紹介

開沼博[カイヌマヒロシ]
1984年福島県生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。『「フクシマ」論―』で第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。『「原発避難」論―』で第6回地域社会学会賞選考委員会特別賞。『はじめての福島学』で第36回エネルギーフォーラム賞優秀賞。立命館大学衣笠総合研究機構准教授(2016~)。東日本国際大学客員教授(2016~)。福島大学客員研究員(2016~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キク

60
タイトルに惹かれて、素通りはできませんでした。AV・飛田・ヤクザ・北朝鮮・クラブ・親族内殺人事件の遺族・福島の現状という、「社会の公式見解」が固定化され消費されかかっている問題を、当事者達と再度見つめ直そうとしている。ネットニュースの短い見出しだけで、この世界で何が起きてるかわかった気になってちゃ危ないよなぁ。2022/08/07

壱萬弐仟縁

39
本書は、社会の周縁的な存在が隔離・固定化、不可視化=漂白される社会を、本の『漂白される社会』とは別なテーマ、形で観察し続けた痕跡(3頁)。初沢亜利:誤解を恐れずに言えば、震災は「国民的エンターテインメント」と化してしまったんじゃないか。「震災復興」の名前を付ければなんでも成立するのか。東京、あるいは中央の論理のなかで、客体としての被災地が消費されていく構造。ずっと被災地を回っていると、それぞれの地域の問題にしか見えない(162頁)。 2018/01/24

ロア

29
多くの人が「あってはならぬ問題」と決めつけ「見て見ぬふりで済ませようとする」なかで、そうはしない人達との7つのテーマで語られる対談集。社会のグレーゾーンに対する寛容さが失われる構造のことを、開沼さんは「漂白」と呼ぶ。それは白か黒の二極化した生きづらい社会だ。「弱者への配慮」を主張されると周囲は黙らざるを得ず、その結果「思考停止」に陥る。一方通行の善意は、ある種の暴力。「がんばろう!日本」という震災ナショナリズムの違和感。ネットで純粋培養される正しさ「のようなもの」。読み応えのある対談集でした。2017/12/02

蜻蛉切

14
「社会の周縁」や「不可視化」をテーマにした対談集。 不都合な事象や存在を、無かった物にして蓋をしてしまう。 つまりは一方的に単純化して「解決した」事にしてしまうという流れは、今に始まったことではないだろうが、やはりどこかで無理が生じるよなぁ・・・。 この本だけで、結論的なものは(示唆には富んだ内容だが)出ないが、個々の問題を考えるキッカケには十分になると思った。 早速、対談者の一人である杉坂圭介の本を買ってしまった。 いや、大量の積読本が・・・。 こうして積読本が増えるんだよなぁ。(笑)2017/11/19

ophiuchi

11
ここで語られた風俗産業と北朝鮮の実情は目からウロコ。実際に起こってしまった後で「あってはならない」という言葉が安易に使われることに、いつも違和感を感じていた。グレーゾーンを受け入れる寛容さがほとんど失われたことが日本を息苦しい社会にしてしまっている。2017/12/13

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