内容説明
学校をさぼって乗った列車の中で、ジェイソンは「家出屋」と名乗る少年ジャムに出会った。ひとり自由に生きているという、ジャムの話にすっかりひきこまれたジェイソンは…。行き場のない少年たちのすがたを生き生きとえがいた、新しい児童文学。小学校中~高学年。
著者等紹介
グレイ,キース[グレイ,キース][Gray,Keith]
1972年イギリス生まれ。経営・経済学を専攻したが、まったく向いていないと、学校をやめ、トラックの運転手、ピザ・ハットの店員、バーテンダー、レコード店などの職を転々とする。子どもの頃児童文学作家ロバート・ウェストールの「“機関銃要塞”の少年たち」を読んで本の面白さに目覚めたという。処女作「あいつとかけぬけた夜(仮題・徳間書店刊予定)」はイギリスのガーディアン賞の候補作になった。新しい世代の子どもの本の書き手として、大変期待されている
前沢明枝[マエザワアキエ]
青葉学園短期大学助教授。専攻は言語学。アメリカ留学中に、英米児童文学に親しんで以来、すぐれた絵本の紹介に力をそそいでいる
コヨセジュンジ[コヨセジュンジ]
1949年生まれ福岡県出身。セツ・モード・セミナー卒。雑誌「アン・アン」「オリーブ」「セサミ」「クラブマン」「BMWバイクス」等でイラストレーションを描いている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬を愛でる人
7
イライラして悲しくてさみしくてモヤモヤしているときに、近所のお兄ちゃんが何気なく寄り添い言ってくれた、逃げたくなるときもあるよ、という言葉にハッとするようなおはなしでした。「逃げる」ってどういうことだろう?離れて、自由になること? 息抜きって難しいね、休むのって難しいね、でも逃げたくなってもいいんだよ。2024/05/23
けぴ
7
『たまには逃げ出したいと思うのも、あたりまえなんだ』。物語の主題は”困難に立ち向かう”ではなく、”時には困難をかわしたっていいんだよ”、というものです。一時話題になった鎌倉の図書館の司書さんのつぶやき『学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。逃げ場所に図書館も思い出してね』に通じる良い物語でした。2016/12/30
紅都
4
あとがきにあった通り、結論がすごく好きだ。「逃げたら負けだ」とか「乗り越えなきゃ」とか、耳にタコができちゃうよ!って思ってる時に手に取った本。時々逃げても、人生が終わるわけでなし。11歳のこどもの居場所は家か学校ぐらいであれこれ不便だ。友達とか家族とか、自分とか、急によく見えるようになってきたりして。ジェイソンは、電車っていう非日常の中でその一歩先へ進んで行ったのかな。ま、おとなになって色々自由になっても、やっぱりたまには逃げたい時ってあるよね。2014/09/26
てて
3
家出してきて、みつかるんじゃないかってドキドキしてるところに、悪さをする男の子の「家出屋」まで現れて、もっとドキドキして…。短い児童書だけどすごく楽しめました。子どもっていろんなことを考えますね~♪2013/02/27
遠い日
2
読み終えた時、主人公ジェイソンと共に数時間の、リバプールへの列車の旅をしたような気分になっていた。110ページ、字も大きく、ほんの15分もあれば読んでしまえるお話なのに。両親の諍いの日々に嫌気がさして、ある日、11歳のジェイソンは兄が住むリバプールへの列車に乗ってしまう。車中で、ジェイソンが出会ったのは、ある少年ジャム。ジャムの正体がわかっても、自由を求め、いきいきとそれを語ったジャムのことが忘れられない。数時間の旅、初めての経験。現実に立ち向かっていくだけが、人を成長させるのではないのだ。2004/10/31