内容説明
おばあさんのお葬式から帰った山下が言った。「死んだ人って、重たそうだった」すると河辺が身を乗り出した。「オレたちも、死んだ人が見たい!」ぼくたち三人は、「もうじき死ぬんじゃないか」と噂されている、ひとり暮らしのおじいさんを見張りはじめた。だけど、見られていることに気づいたおじいさんは、だんだん元気になって、家や庭の手入れを始めた。やがておじいさんと口をきくようになったぼくたちは、その夏、さまざまなことを知った…。十二歳の少年たちの忘れがたい夏を描き、世界の十数カ国で話題を呼んだ作品。児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ミルドレッド・バチェルダー賞等受賞。小学校中・高学年から。
著者等紹介
湯本香樹実[ユモトカズミ]
1959年東京生まれ。東京音楽大学作曲科卒。オペラの台本を書いたことから、テレビ・ラジオの脚本家となる。児童文学の第一作「夏の庭The Friends」は、日本で各新人賞を受賞し、映画化・舞台化されたほか、十数カ国で翻訳出版され、アメリカでも三つの賞を受賞した
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感想・レビュー
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とろこ
80
良かった。人間が、「死」を意識するのは、何歳くらいからだろう。そして、私は、いつから「死」について考え始めたのだったろう…。3人の少年たちが、12歳だった頃の、ひと夏の出逢いと別れ。彼らが、おじいさんと交流を深めていく様子は微笑ましく、その光景が目に浮かぶようだった。おじいさんは、悲しい過去を抱え、1人で暮らしていたけれど、3人と過ごした日々は幸せだったと思う。コスモスを植えた夏の庭。そこで、3人は大きく成長したのだろう。ラストで、山下少年が、「それってすごい心強くないか!」と放った言葉。じわっときた。2018/08/07
ひらちゃん
74
死を意識し始めるのは何歳ごろからなんだろう。ちょっとしたきっかけなのかもしれない。三人の少年は「死」に興味を持ち近所のおじいさんを観察するようになった。図らずもおじいさんとの交流が始まりおじいさんの中でも何かが変化していく。おじいさんは三人に会えて楽しかったろう。三人の体験した夏の出来事は大人になっていく為のステップだった気がした。最後はほろっときたな。2017/03/02
ぱぁる
40
読友さんの感想を拝見して、手に取りました。おじいさんは死んでしまった…大事な何かを、全く他人の3人の少年たちに残して。始まりは、死にそうな年寄りを見張ることでした。とても素敵な気づきや言葉があちこちに見られました。みずみずしくピュアな感性が少年たちを際立たせていました。一夏の思い出…一言にしてしまうのは寂しい。8月に読めてよかったです。2015/08/28
あつひめ
39
子供心の好奇心。生きること、死ぬことなんに対しても興味を持ちそのうち興味を持ったことさえ忘れてしまう子供。だけど、おじいさんとの歯車がガッチリ組み合わさりお互いの生活が動き出すとおじいさんの死に対しての興味なんて吹っ飛んでしまっている。家を片付け花を咲かせ・・・。祖父と孫の擬似関係みたいにゆるゆると進んでいく。いつまでもこの関係は進むわけもなく。子供たちの心の成長とおじいさんの心の変化が世界的にも受け入れられる題材だったのかもしれない。繰り返し読みたい本の一冊。2010/05/10
舞
35
小学生か中学生の頃に、タイムリーな感じで読んだ記憶が。 でも、表紙は好きだったけど、内容的には相性が合わなかった気が。 またいつか読む機会はあるかもしれない。