内容説明
貧しさに埋もれたこの町を出て、いい職について、いい暮らしをしたい。それには大学へ行かなくちゃ。でも、うちにはそんなお金はない。だから、ベビーシッターのバイトを始めた。学費の足しになるように。バイト先の二人の子どもの母親は、わたしとたった三歳しか違わない十七歳のジョリー。学校にもまともに行っていなくて、字もちゃんと書けなくて、仕事もすぐにくびになる、ジョリー。わたしはジョリーたちの暮らしにかかわるうちに、なんとかしてあげたい、と思うようになった…。現代アメリカが抱える問題に真正面から向き合いつつ、前向きに生きる若者たちの姿を明るく描いた話題作。ゴールデンカイト賞、全米学校図書館協会YA向けベストブック、スクールライブラリージャーナル誌ベストブック、子ども学研究センター賞など、受賞多数。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
100
2018年507冊め。14歳のラヴォーンは貧困とドラッグの町から出ていく学費のために、17歳で2児のシングルマザー・ジョリー宅でベビーシッターのアルバイトを始める。ストリートチルドレンだったジョリーは日々の暮らしに精一杯で子どもの衛生的な養育にまで手が回らずバイト代すら滞るが、ラヴォーンは現状を打破するための方法を必死に考え、道を拓いていくタイトルのレモネードとは子どもがちょっとしたお小遣い稼ぎにやる定番のものの話かと思ったが、とても深い逸話が出てきて胸を打たれた。(続)2018/08/15
tomatobook
20
アメリカの格差社会の中で生きる2人の少女、ラヴォーンとジョリーの話。ドラッグと貧困の町を出て大学に進学するためにベビーシッターのアルバイトをするラヴォーン。そのアルバイト先は乳幼児を抱えて働く17歳ジョリー。2人の緊張した関係性が次第に信頼に変わっていく。段ボールガールのジョリーは教育もしつけも受けたことがないのに母親としての愛情を持って子どもたちと生きていることにホッとした。2018/09/24
サトゥルヌスを喰らう吾輩
16
読みだしたら止まらない名作でした。14歳の女の子が大学へ行くためにベビーシッターのアルバイトを始めますが、雇い主は17歳のシングルマザー。知らなければ素通りしてしまうかもしれないタイトルですが、すごく意味のあるフレーズで意味がわかった瞬間「うあああ!」と思いました。貧困、暴力、教育、女性、福祉、いろんな問題が物語にしか語れない形で迫って来て胸がつまります。この本が訴えることは本国アメリカでも「今」の話なのだろうし、日本に住むわたし達にとっても、海の向こうの遠い国で起きた誰かの話、では、ないのだと思います。2016/07/01
こめんぶくぶく
13
何年か振りの再読。最近日本でも子どもの貧困について取り上げられているが、アメリカの格差社会の現実がリアルに描かれていて切なくなる。しかしながら貧しさから抜け出すために夢を追いかける14歳の主人公ラヴォーンも17歳シングルマザージョリーもその逞しさが愛おしく心から応援したくなる。「教育」を受けること、学ぶことは人生の自由を手に入れるためなんだとこの本を読んで改めて感じた。ラヴォーンもジョリーもこのトランプ政権をどう見守るんだろうとふと思う。2017/03/11
みけのすずね
11
シングルマザー・ジョリーのところでベビーシッターをすることにしたわたし。ひどい人生でつかまされたのは酸っぱいレモンで、家のなかはめちゃくちゃ荒れてて。つたなく正直なラヴォーンの文章から伝わる大変な状況。けれど、なんの頼りもない中でも、ジョリーが子どもたちのために頑張ってる必死さやふんばりは、やっぱり母の姿だ。背負いきれない荷物をおろすことはできないかもしれないけど、自分を責めないこと。わかってはいても、こうして一緒に頑張ってくれるひとがいると支えられますね。2015/02/13
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